米韓同盟は相当ヤバイ状況にあるようだ。

 ドナルド・トランプ米大統領と韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領による初の首脳会談が6月30日に行われたが、共同記者会見で、両国の懸案である米軍の最新鋭迎撃システム「THAAD(高高度防衛ミサイル)」の韓国配備問題に言及がなかったのだ。

 このため、米韓同盟が現在、「空洞化」の状況にあるとの見方も浮上している。

 「私たちは向こう見ずで残忍な北朝鮮の体制による脅威に直面している。核・ミサイル計画には決然とした反応が必要だ」

 トランプ氏は会談終了後の共同記者会見でそう述べ、日韓を中心とした各国との協力で北朝鮮の脅威に立ち向かう考えを強調した。文氏も「トランプ氏とは強い安全保障によってのみ真の平和がもたらされるとの考えで一致した」と話した。

 だが、核・ミサイル開発に狂奔する北朝鮮から韓国を守るTHAADについて、両首脳は記者会見で言及しなかった。これは不可思議としかいいようがない。

 というのも、THAADの本格運用を事実上先延ばしにしている文政権に対し、米国では強い懸念の声が上がっていたのだ。首脳会談に先立ち、米上院議員18人はトランプ氏に書簡を送り、THAADの早期完全配備を求めていた。

 THAADについて共同記者会見で触れられなかったウラには何があるのか。

 国際政治学者の藤井厳喜氏は「何らかの合意に至っていれば、共同記者会見でいうはずで、完全にすれ違いだったのではないか。ただ、表沙汰にすると、北朝鮮に隙を与えることになるため、共同記者会見では慎重を期して言わなかったのだろう」と話し、「米韓同盟は現在、空洞化の方向に向かっている」と指摘する。

 今後、米韓同盟はどうなるのか。文政権は、朝鮮半島有事が起きた際、作戦を指揮する権限である「戦時作戦統制権」について、米国から韓国への返還を求めてくる恐れが指摘されている。

 藤井氏は戦時作戦統制権の問題に触れ、「戦時作戦統制権の韓国移譲やTHAADを日本に移すというような事態になったら、米韓同盟は実質上終わる」と話した。

 日本も韓国抜きの対北朝鮮防衛に向け、覚悟を固めなければいけないようだ。

http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170703/soc1707030010-n1.html
http://www.zakzak.co.jp/soc/news/170703/soc1707030010-n2.html

http://www.zakzak.co.jp/images/news/170703/soc1707030010-p1.jpg
トランプ(右)、文の両大統領。首脳会談に実りはなく…(AP)