米国のニューヨーク・タイムズ(NYT)紙が5日(現地時間)、北朝鮮の核・ミサイル施設に対する極めて限定的な先制攻撃であっても、韓国では数万人もの大規模な死傷者が生じかねない、という内容の仮想シナリオを伝えた。

同紙によると、米国の民間研究機関「ノーチラス研究所」は、2012年に報告書で「北朝鮮が通常兵器で韓国の軍事施設を攻撃した場合、数時間以内におよそ3000人、民間人を狙った場合はおよそ3万人の死者が出かねない」と指摘した。

米国の軍事専門家らは、NYTの取材に対し「北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)労働党委員長は、外部の核攻撃があったり自分の命が危機に瀕したりといった最悪の状況に直面しないかぎり、すぐには核や生物化学兵器に依存しないだろう」として、

「そのかわりに、韓国のソウルなど首都圏に向けて170ミリ自走砲、240ミリ・300ミリ放射砲(多連装ロケット)で集中砲火を浴びせる可能性が高い」と語った。

北朝鮮の攻撃に対して韓国や米国は、レーダーで北朝鮮の火砲を探知して空襲により壊滅させる対砲戦略に集中するだろう、と同紙は予想した。この戦略を用いた場合、北朝鮮は一日で砲兵戦力のおよそ2割を失い、3−4日後には北朝鮮砲兵は完全に制圧されるとノーチラス研ではみている。

しかし初日の攻撃だけでも、韓国には大きな被害が出かねない。北朝鮮は、短時間で集中砲撃を加えて被害を極大化させる戦略を取る可能性が高いという。

ノーチラス研は「北朝鮮がソウルや首都圏の軍事施設を狙って砲撃を行った場合、初日だけで6万人の死者が出るだろう」と予想した。一般人を標的にした場合は、死者が30万人に達する可能性もある。

オ・ユンヒ記者
朝鮮日報/朝鮮日報日本語版
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