ノーベル平和賞を受賞した中国の民主活動家、劉暁波(りゅう・ぎょうは)氏(61)が13日、多臓器不全のため死去した。国外での治療を求めていた劉氏の希望を拒否し、当局の監視下に置き続けた習近平指導部に対し、国際社会からは強い非難の声が上がった。

 劉氏の存在感は死去後、さらに高まるとみられ、専門家は「中国共産党政権崩壊の始まりの日になるだろう」と指摘する。

 「中国政府は、彼の早すぎる死に対して重い責任を負っている」

 ノルウェーのノーベル賞委員会のレイスアンデルセン委員長は中国を批判する声明を発表した。

 ティラーソン米国務長官は声明で「中国に対して劉氏の妻、劉霞氏を自宅軟禁から解放し、本人の希望通り中国からの出国を認めるよう求める」と訴えた。ドイツのメルケル首相は「人権と言論の自由のための勇敢な闘士だった」と劉氏をたたえた。

 各国メディアも中国当局の対応を問題視する。仏紙ルモンド(電子版)は、中国が劉氏の問題を「欧米と(民主主義など)普遍的価値の非難に利用している」と批判。

 米紙ワシントン・ポスト(電子版)は社説で「劉氏は現代の権威主義を代表する中国の体制と最期まで執拗(しつよう)に、しかし平和的に戦い続けた」と論評した。

 香港の週刊紙「香港01」は妻の劉霞氏が7年間、軟禁状態にあることを指摘し、「その理由は国家の敵の妻であることだけだ」と訴えた。

 新華社電(英語版)によると、中国外務省の耿爽副報道局長は14日、劉氏への対応は内政問題だと強調し、「外国は不適切な意見を述べる立場にない」との談話を発表した。だが、批判は収まりそうにはない。

 評論家の石平氏は「世界中に怒りが生じたのは、中国政府が事実上、劉氏を殺すべくして殺したからだ」と指摘。すぐに中国国内で動きはないとしながらも、こう続けた。

 「劉氏は今までは民主化運動のシンボルだったが、ある意味ではイエス・キリストになった。歴史的に見れば、2017年7月13日は『中国共産党政権崩壊の始まりの日』になるだろう」

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香港にある中国の出先機関前で劉暁波氏を追悼する支援者ら=13日(ロイター)
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劉暁波氏=2007年(撮影・野口東秀)
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習近平氏(AP)