今の安倍晋三政権もそうですが、国民に真実を話さない姿勢が見え見えになると、政策以前の問題として不信感を与えてしまいます。民進党の蓮舫代表も、台湾籍と日本国籍の「二重国籍」問題で最初にウソをついてしまいました。

 事実が分かると、ウソを糊塗(こと)し、ウソを繰り返さなければならなくなる。蓮舫氏は二重国籍状態を「知らなかった」とおっしゃっていましたが、政治家になる前の言動(「私は台湾籍」などと語ったインタビュー記事)をみると、どうも正直ではないですね。

 蓮舫氏は肩肘を張りすぎているんですよ。野党として政府・与党を批判するだけで生産的なことが見えてこない。そこで力みすぎ、国籍問題はやばいと思ったのでしょう。

 実は、蓮舫氏は私が政治家としてスカウトしました。平成15年冬、東京・赤坂でフリージャーナリストだった彼女を見かけ「政治に関心ないですか」と声をかけました。

 蓮舫氏に注目したのは台湾人と日本人のハーフだからです。民主党が多様性を持った候補を擁立していることを示すことができる。主張の強さなど彼女の魅力もありました。ただ、「二重国籍」問題は全然想定していなかった。

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 東京都議選は民進党が自民党以上の大敗を喫してしまったことを認め、信頼回復に努めなければならない。一方、共産党の方が民進党以上に期待を集めました。共産党は安倍政権の政策とどこが違うのかクリアに示したからです。

 民進党は非常に曖昧です。蓮舫代表−野田佳彦幹事長という体制が自民党以上に信頼を失っている現実を認めるべきだと思うんですよね。

 特に(政権との違いを示すのに)野田幹事長では難しいんじゃないですか。野田氏は民主党政権(当時)が衆院選で大敗し、下野したときの首相ですよね。最大の責任者です。

 当時は消費税増税や原子力発電問題、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設問題でも、野田氏は自民党との違いを強く持っていませんでした。安倍政権に対し、もっとしっかりしたメッセージを持つ人が党の軸になってもらうべきでないでしょうか。

 私自身が反省しなければならないのを承知で申し上げれば、21年に民主党が政権を取る直前、私たちは「こういう日本をつくりたい」という議論を相当行いました。政策を出し、財源と期限を明示して「マニフェスト」にまとめました。

 しかし22年の参院選で敗北後、掲げた政策は一切進まなくなった。その負い目があるんでしょうね…。

 「俺たちはマニフェストができなかった」という負い目が現在、新しい物を作る迫力を欠く結果になっている。国民にわれわれが目指す「日本の絵」を示すことは政党として最低限の責任です。それが見えないから「自民党と変わらないのなら自民党でいい」という選択になる。

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 私の活動といえば、6月に韓国・済州島で開かれたアジアインフラ投資銀行(AIIB)総会に顧問として出席しました。日本の参加は世界の安定のために重要だと思うのですが、お会いした金立群総裁には「日本はどっちの立場なんだ」と指摘されました。

 自民党の二階俊博幹事長は早期参加に前向きですが、麻生太郎副総理兼財務相は否定的です。金氏からは「入ってくれとは言わないが、しばらく様子をみる。ドアは開いている。参加していただくのはありがたい」と言われました。

 金氏は中国が推進する現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」をめぐり、安倍首相が条件付きで協力を表明したことに「ガバナンスの問題に条件をつけられると困る。今まで条件をつけた参加国はない」とも話していました。

http://www.sankei.com/premium/news/170721/prm1707210009-n1.html

>>2以降に続く)

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インタビューに答える鳩山由紀夫元首相=東京・永田町(酒巻俊介撮影)