ドイツ・ハンブルクで6日に行われた日米韓首脳会談後に発表した共同声明をめぐり、北朝鮮が4日に発射したミサイルについて「大陸間弾道ミサイル(ICBM)」との表現で明記する方針に、韓国政府が反対していたことが22日、分かった。

 加えて中露両国を名指しして北朝鮮に核・ミサイル計画の停止など圧力をかけるよう求めることにも難色を示した。

 日米両国が北朝鮮に対する国際的圧力の強化を図る中、文在寅(ムンジェイン)政権の「対北融和」姿勢が一段と鮮明になった。

 共同声明は議長役の米政府が日韓両政府と折衝する形でまとめた。日米両政府は4日のミサイルについてICBMと認定したが、韓国側は大気圏再突入技術の開発が未確認であることなどを理由にICBMの認定に反対したという。

 その後の文言調整で「大陸間に及ぶ射程距離を有する弾道ミサイル」と間接的な代替表現に落ち着き、日本側も「実質的にはICBM」(外務省幹部)として受け入れた。

 ICBMと認定されれば、国連安全保障理事会決議などに基づき、国際社会が北朝鮮への制裁をさらに強める動きが高まる。このため、北朝鮮との対話を模索する文政権が制裁強化を回避する思惑から表現を曖昧にするよう働きかけたとの見方がある。

 また、北朝鮮が石油輸入の9割を依存する中国とロシアに、北朝鮮への圧力強化を求める日米両政府の声明方針に対し、韓国政府が中露両国の名指しに反対し「北朝鮮と国境を接する特定の国々」との表現で決着した。

 名指しに反対したのは、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」配備で悪化した中国との関係改善を図りたい韓国側が、対北朝鮮圧力に消極的な中国を刺激したくないとの思惑があったとみられている。

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北朝鮮のICBM発射を報じる街頭テレビ=4日夕、東京・新宿