かつては欧米が最先端だった「美容整形」だが、いまやイノベーションと人気の面では、アジアがそれを凌ぐ勢いだという。
なかでも韓国での普及は著しく、見た目重視の社会や、自己の変化と改良は良いことという価値観が影響していると見られている。

◆人口比では世界一。韓国では整形はカジュアル感覚

ファッション・サイト『ビジネス・オブ・ファッション(BOF)』によれば、国際美容外科学会(ISAPS)の2016年の調査では、
世界で最も美容整形が多く行われている国はアメリカで、以下ブラジル、日本、イタリア、メキシコの順となっている。

しかし、人口一人あたりで見ればもっとも多いのは韓国で、1000人中約20人が美容整形を受けている計算となり、
アメリカの13人を越え、世界一となっている(注:韓国の美容整形医の多くは、ISAPSの調査に参加していなかったため、韓国の数字は別の調査に基づくもの)。

韓国の美容整形では、二重まぶたへの整形や、まぶたを引き上げたり脂肪を取ったりする形成術がほぼ半分を占めるということだ。
18歳の誕生日にこうした手術を受けるというのも、非常によくあることだという。

目を大きく見せるという処置が、東アジア人の特徴は「解決」すべき「問題」と捉えられ、
欧米的な顔立ち偏重につながるという批判もあるが、整形をする側は今風のアイドル的な顔立ちへの安全なアップデートだと考えているという(BOF)。

BBCによれば、韓国のある調査では、実に20代の女性の60%以上が、整形をしたことがあると答えたという。

韓国で美容整形が人気となった理由の一つとして、競争の厳しい社会おいて、見た目が重要な武器であることが上げられる。
ウェブ誌『クオーツ』によれば、韓国の昨年の調査では、312人中34%の人事担当者が、たとえ経歴が仕事に向かなくても、顔を基準に採用を決めたと答えている。

また、50%が見た目の悪い応募者は落としたと回答した。このような事情から、美容整形クリニックは就職活動の一助としての整形を宣伝しており、
希望する職種に合わせた顔立ちに整形をしてくれるクリニックなどもあるという。

ファッションエディターのHaesoon Jung氏は、1970〜1980年代に急速に産業化し、貧しい国から世界トップレベルの経済規模を持ったインパクトが韓国人にとって非常に大きいと指摘し、
変化と改良は良いものという考えが、整形で良い仕事、良い伴侶が得られ、未来はより明るくなるという思考につながっていると見ている。

同氏はまた、Kポップスターをはじめとするセレブ文化が普通の人々に影響していると指摘する。
多くのKポップスターは整形をしており、それが彼らのキャリアにとって不可欠なものになっているため、一般の人も、整形により競争力が高まると考えるのだと述べている。
http://newsphere.jp/culture/20170726-3/