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2017/08/03(木) 03:30:02.09ID:CAP_USERこの件に関し筆者は、4月の段階で孫が攻撃を受けていることを伝えている。『週刊東洋経済』の連載(4月15日号)でのことだが、中南海の変化に対応できた数少ない専門家としてホッと胸を撫で下ろしている。
これまで習近平国家主席がポスト胡錦濤として台頭することに始まり、その後の政界が薄煕来を中心に動くだろうこと、胡春華・孫政才がポスト習近平となること、そして王岐山の規律検査委員会書記への抜擢により汚職摘発が強化されることをきちんと予測してきた。
後付けでいろいろ言う専門家は多いが、事前に変化の兆候を掴んでこそウオッチャーなのではないだろうか。
もちろん失敗したこともある。中南海における習近平の基盤の薄さをもって、「政権運営に苦労する」との予測は外れた。習はなんと人民を味方につけるというウルトラCで、対抗したからだ。
今回の孫のケースは国内メディアが突如として孫を間接的に攻撃したので、比較的変化を容易に掴めた。だが正直に言えば、彼が規律検査の対象になるといった結末までは予測できず、この動きを過小評価してしまったのは反省しなければならない。不覚である。
今回、辛口の原稿を、と書いたのは、その孫政才に対する規律検査の政治的背景についてである。現状、分かっていることは少ないので、種明かしをしようというのではない。日本において、後付けで出てくる解説に対して、少々注文をつけたいと思う。
まず、あらゆる政変に「〇〇は××派だから」という解説が付きまとっている問題に対してだ。
この解説は日本の永田町政治に慣れた日本人には分かりやすく、また何より分析者にとって楽であるから多用される。実際、対象の政治家の経歴が分かれば、派閥分けは簡単である。
江沢民と接点があるか、もしくは上海で重要ポストにあれば「江派」。共産主義青年団でしかるべきポストを経ていれば「団派」という以外に何もない。
では、上海で共青団のトップを務めた人物は「江派」なのか「団派」なのか。上海市党委書記に抜擢されてトップに立った習近平がどの分析を見ても「江派」に分類される周永康を撃ち落としたことはどう説明するのか。それ以前の習近平の位置づけも二転三転している。
派閥の論理の背景にあるのが、「政治局常務委員のなかで過半数を握るため」という奇妙な解説だ。
中国の政治を見れば明らかだが、中央委員会でもほとんど反対票は出ないように、政治局常務委員会でも政策が多数決でギリギリ通るなんてことが起きるはずはない。事前に反対が出ないように中央弁公庁が走り回るからだ。
胡耀邦、趙紫陽という元総書記が解任される会議で多くの反対者が出ただろうか、陳希同、陳良宇のときはどうか。そして薄煕来、周永康の党籍はく奪に多数決が必要だったのだろうか……。
分党工作が重罪の国で派閥ができるのも不思議だ。あれだけ強い権限があり、誰もが叩けば埃の出る体で「反習派」なるものがあるなら、私が一番見てみたいのだ。(敬称略)
■富坂聰(とみさか・さとし) 拓殖大学海外事情研究所教授。1964年生まれ。北京大学中文系に留学したのち、週刊誌記者などを経てジャーナリストとして活動。中国の政・官・財界に豊富な人脈を持つ。
『中国人民解放軍の内幕』(文春新書)など著書多数。近著に『中国は腹の底で日本をどう思っているのか』(PHP新書)。
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「ポスト習近平」とされた孫政才氏(奥)も失脚が確定した(共同)