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2017/08/03(木) 09:34:23.91ID:CAP_USERまずはトランプ氏。彼は感情の起伏が激しい。神経質で繊細で自己顕示欲が強い。北朝鮮と習近平氏に関する過去3カ月の発言をまとめた。
●習氏はとてもいい人で、何かしたいようだが、できない可能性もある(4月27日)
●北朝鮮は中国や尊敬すべき習近平国家主席の思いに敬意を払わない(同28日)
●習氏は友人だが北朝鮮でもう少しやってくれるはず、様子を見たい(7月14日)
●中国には大いに失望、しゃべるだけで何もしない。このままでは許さない(同30日)
おいおい、トランプさん、今頃分かったのかい。想定内の話を「失望」なんて言わないでほしい。確かに中国の役割は重要だが、今中国は役割を果たせる状況にない。理由は2つ。
第1は今年が共産党大会の年、対外政策で冒険できない力学が働くこと。第2はそもそもポスト北朝鮮の朝鮮半島について米中に共通の青写真がないことだ。米韓主導の半島統一は中国にとり最大の脅威だからこそ、習氏は今何もできないのである。
北朝鮮の真の意図は、軍事的挑発ではなく、交渉上の挑発だ。米国本土に届く核弾頭付きICBMを実戦配備することにより、力の立場から米国と交渉し、自国を核兵器保有国と認めさせた上で、米国と平和条約を締結し、最終的に生き残ろうとしている。
しかし、現状は北朝鮮が求めるものと正反対だ。核弾頭付きICBMが米本土に届くということは、米国にとって問題はもはや東アジアの安全保障ではなく米国の本土安全保障、ホームランドセキュリティーとなる。本気で自衛権行使を考える可能性が出てくるということだ。
その意味で北朝鮮は自国の存立に大きなジレンマを抱えている。
続いて習近平氏だ。7月30日、迷彩服姿の習氏は党中央軍事委員会主席として建軍90周年軍事パレードに出席し、次の通り演説したそうだ。
●軍は党の指導の下にあり、党への忠誠を誓うべし
●戦闘力を維持し戦えば必ず勝てる精鋭部隊となるべし
●党は人民解放軍を世界一流の軍隊にする
あれあれ、習近平さん、人民解放軍はいまだ世界一流じゃないってことなの、と一緒にテレビを見ていた女房が言った。まだ戦えば負ける非精鋭部隊なのか。党はいまだ軍を掌握していないのかい。
トランプ氏とは異なり、習近平氏は慎重居士だ。原稿に目をやり、ツイートやアドリブは絶対にやらない。それでも、これらの言葉はいかにも軽い。トランプ氏と程度は違うが、中国では実現困難な命題こそ、演説で繰り返し述べざるを得ないのだろう。
北朝鮮はICBM開発を急いでいるように見える。理由は金正恩氏の危機感だろう。後ろ盾のはずの中国は頼りにならず、米国の圧力に屈するかもしれない。そもそもトランプは何をやるか分からない。されば早く対米和平交渉を始めたいのだろう。それは逆効果となるだけなのだが。
最後に国際社会は何をすべきか。問題は3つある。第1は北朝鮮に核兵器開発を断念する気がないこと。完成まであと一歩で断念させることは難しい。第2は、軍事的圧力だけで北朝鮮が方針変更するとは思えないこと。
最後は、韓国や中国はもちろん、米国ですら軍事的選択肢を躊躇(ちゅうちょ)する可能性が高いことだ。米中首脳がこうした空虚な言葉を続ける限り、金正恩氏はわれわれの足元を見続ける。
当面は中露企業などに対する経済制裁を強化するしかないが、日本人も平和を守るため、平和が崩れるときに、戦う覚悟が必要になるかもしれない。
【プロフィル】宮家邦彦
みやけ・くにひこ 昭和28(1953)年、神奈川県出身。栄光学園高、東京大学法学部卒。53年外務省入省。中東1課長、在中国大使館公使、中東アフリカ局参事官などを歴任し、平成17年退官。第1次安倍内閣では首相公邸連絡調整官を務めた。
http://www.sankei.com/world/news/170803/wor1708030007-n1.html