日本海呼称の変更を求め、「15万人の会員」を動員し世界の出版社や政府機関などに働きかけを行う民間団体「VANK」の朴起台(パク・ギテ)代表が産経新聞の電話取材に応じ、「民間で自発的に運動を行うわれわれの熱意は、日本とは比較にならない」と述べた。

 VANKは1999年、海外の文通相手募集サイトとして設立された。国際交流の中で「韓国の正しい姿を世界に知らせる必要を感じた」(朴代表)として「サイバー外交使節団」を名乗り、竹島(島根県)の領土問題や日本海呼称問題について広報活動を展開。代表的な反日運動団体の一つとして知られるようになった。

 朴代表によると、入会費3万ウォン(約2900円)を支払った正会員3万人や外国人3万人を含み、活動に参加する会員総数は15万人に上るという。

 メンバーは「日本海」の単独呼称が採用されている世界各地の地図や教科書、放送などについて情報を共有。出版元などに一斉に大量のメールを送付するなどして圧力をかけ、表記の変更を要求する。

 朴氏は、これまでに米誌「ナショナル・ジオグラフィック」や英国のBBC放送など、国際的に知名度の高い媒体で日本海と東海の併記を実現させたと強調。「学生ら若い世代を中心に、充実した活動ができている」と振り返った。(時吉達也)

http://www.sankei.com/world/news/170804/wor1708040003-n1.html


「日本海」表記支持表明、6割弱にとどまる 外務省195カ国調査

 日本海の国際呼称について、韓国が求める「東海」への表記変更が増加している問題で、日本海の単独呼称支持を表明する国が約58%にとどまっていることが3日、外務省への取材で分かった。

 北朝鮮のミサイル実験に伴い、同海域に言及する報道は年々増加。国際的な関心が高まる中、呼称変更運動を展開してきた韓国の民間団体などは各国への攻勢をさらに強めている。(時吉達也)

 調査は外務省北東アジア課が世界の195カ国を対象に、昨年4〜6月に実施した。114カ国が「日本海」の単独表記を支持した一方、11カ国が「東海」との併記を支持。69カ国は立場を明らかにしなかった。

 同課は併記支持の国名などを明らかにしていない。担当者は「各国の状況を明らかにすれば、韓国のロビー活動の『草刈り場』になってしまう」と説明。「水面下で日本の立場について説明し、静かに状況を改善させたい」としている。

 7月28日の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射の際には、米CNN(電子版)などが一部記事で両呼称を併記。韓国側の抗議を意識したためか、欧米メディアでは海名の言及を避け「朝鮮半島の東沖合」などとする報道も目立つ。

 韓国での運動を主導する徐敬徳(ソ・ギョンドク)・誠信女子大教授は「北朝鮮の挑発を名称変更の『チャンス』と呼ぶべきではないが、報道が増加しているのは事実だ」と指摘。「米ニューヨーク・タイムズなど影響力のある媒体で併記を実現し、将来、『東海』単独表記を普及させたい」としている。(時吉逹也)



【用語解説】日本海呼称
江戸時代の19世紀初頭、欧米で「日本海」の国際呼称が確立。国連は公式文書の標準地名として日本海の単独表記を採用している。韓国は1990年代以降、韓国側呼称「東海」への変更または併記を要求。
東海を記載する地図や報道は年々増加し、2000年の日本側調査では世界の地図の97%以上が日本海の単独表記だったのに対し、09年の韓国側調査では東海の併記が約28%に達した。

http://www.sankei.com/world/news/170804/wor1708040002-n1.html
http://www.sankei.com/world/news/170804/wor1708040002-n2.html

http://www.sankei.com/images/news/170804/wor1708040002-p1.jpg
日本海(SEA OF JAPAN)と東海(EAST SEA)が併記された英フィリップス社の世界地図
http://www.sankei.com/images/news/170804/wor1708040002-p2.jpg