【シリコンバレー=兼松雄一郎】米フェイスブックが他企業を通じひそかに写真共有アプリを中国で提供し始めたと米紙ニューヨーク・タイムズが報じた。米グーグルも3月末から中国で無料翻訳アプリの提供を始めている。

中国共産党が秋の党大会に向けネット規制を強化するなか、米ネット大手にとって現地での本格的なサービス展開は不可能に近い。だが、政治性の薄いサービスを通じ、中国進出の足がかりだけでも作ろうとしている。

中国では接続場所を隠すソフトの利用時や、香港など一部地域を除き2009年からフェイスブックは利用できない。

同社傘下のインスタグラムも14年以降遮断されている。傘下の対話アプリ、ワッツアップも7月以降、写真や動画が送りにくい状態にある上、利用者は限られている。

ただ、再進出を目指すマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)は中国語を学習し、繰り返し訪中して学生と交流するなど秋波を送ってきた。中国政府が要請する自主検閲に対応するソフトを開発していると言われている。

中国では反政府運動などを取り締まるため、ソーシャルなサービスの利用に実名制を導入。中国の顧客データを扱うデータセンターは中国国内に設置することを求めている。アップルはこれに従い、データセンターの設置を決めた。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASFK13H16_T10C17A8000000/