【北京時事】中国はトランプ米政権が異例の米通商法301条適用に向けて動き始めたことに、神経をとがらせている。米国が対中制裁に踏み切れば、報復するのは必至で、激しい米中貿易摩擦が予想される。その最悪の事態を避けるため、まずは「アメとムチ」で米国を揺さぶる構えだ。

「米国の一方的な措置が両国の経済関係を損なうとの懸念が各方面で出ている」。中国国営新華社通信は13日に配信した論評記事で、トランプ政権を強くけん制した。

米政権は、中国が米企業にIT技術の移転を義務付けているのは知的財産権侵害だと問題視。

米企業から意見を聴取する方針だが、米中貿易に詳しい専門家は「積極的に協力した米企業が中国当局から不利な扱いを受ける可能性がある」と指摘する。「ムチ」を恐れる米企業が、どこまで正直に証言するか不透明だ。

その背景には「米中貿易戦争となれば、最大の被害者は対中進出している米企業」(通商筋)という事情がある。米企業自身がそれを熟知しているだけに、中国はさまざまな手段で米側の切り崩しを図るとみられる。

中国はまた、米国は世界貿易機関(WTO)のルールに従うべきだとの原則論をかざして301条適用に反対するとともに、水面下で、米国からの農産品輸入をさらに増やすなどの「アメ」を提示していくとみられる。

液化天然ガス(LNG)や航空機の購入も対米交渉のカードとなりそうだ。

トランプ大統領と習近平国家主席はこのほど行った電話会談で、年内のトランプ氏訪中計画に変更がないことを確認。中国が訪中に向け、301条適用の回避に全力を挙げるのは間違いない。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2017081300335&;g=use