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2017/08/21(月) 09:20:42.53ID:CAP_USER不動産市場のみならず、委託融資や理財商品、ゴルフ会員権などさまざまな分野で、企業の投資ブームがみられる。
◆緩和マネーが滞留
近年、中国の企業債務は急拡大している。国際決済銀行(BIS)によると、16年末の非金融企業(金融機関を除く企業部門)の債務残高は123兆5090億元(約2021兆5706億円)と、08年末から4倍となった。
なお、このうち地方のインフラ開発プロジェクトや不動産プロジェクトの資金調達を行う地方融資平台の債務残高は約2割とみられる。
企業債務拡大の要因の一つは、過剰な固定資産投資である。リーマン・ショック後の4兆元の景気対策を受けて、地方政府が融資平台を通じて調達した資金の多くは効率性や採算性の低いインフラ建設や不動産開発投資に投じられた。
また、鉄鋼やセメント、太陽光パネルなどの製造業セクターでは、大規模な金融緩和によって資金調達コストが低下するなか、借り入れと新規設備を増加させた。
最近の状況は発表されていないが、非金融企業の期末貸借対照表勘定によると、純固定資産は08年末の50兆9293億元から12年末の79兆1625億元へと増加した。
もう一つの要因は、企業の金融資産投資の拡大である。08年以降の大規模な金融緩和を受けて、緩和マネーが金融資産に大量に流入し、滞留している。実際、非金融企業の金融資産は同年末の35兆6590億元から12年末には88兆8247億元へ増加した。
期末資産に占める割合は30%から39%へ上昇した。これを、リスクの低い現金・預金と、よりリスクの高いその他金融資産に分けてみると、後者が21兆2074億元から57兆5836億元へと急ピッチで増加した。
いまでも、資金が実物投資に回らず、リスク資産に投じられることを指す「脱実向虚」との指摘が続いている。
コンテナ船などの生産販売に携わる舜天船舶のケースをみてみよう。国有企業である同社は、12年に表面利率年6.6%の社債発行で資金を調達し、12年から13年末までに、銀行を経由して複数の非関連会社向けに年率18〜19%で資金を貸し付けていた。
このように銀行を仲介役として、企業がほかの企業に貸し付けることは「委託融資」と呼ばれている。最近では、委託融資による受取利息が最終利益の約50%に達したアルミ生産の国内最大手、中国アルミの事例が、注目されている。
◆熱狂的投機に懸念
企業は委託融資のほか、銀行理財商品や信託商品などで資金を運用している。この3種類の運用は高い運用利回りを得られるため、企業の間で人気が集まっている。16年末時点で合計残高はGDPの80%に達する。
このほか、不動産市場、銅や鉄鉱石、ニンニクや落花生などの商品市場、白酒(中国の蒸留酒)やワイン、絵画やゴルフ会員権などでも投機的な動きがみられる。
13年6月3日付の中国国営新華社通信の記事によると、役人とのコネクションを深めるためや転売するために、多くの上場企業がゴルフ会員権に投資している。
15年2月15日付の新華社通信の記事によると、上海郊外のゴルフ場である「東庄海岸高爾夫倶楽部」の会員権は年間で146万元、日本円にすると2000万円以上になる。
ヨーロッパでは、チューリップの球根1つが、住宅以上の価格に跳ね上がるほど、投機が盛り上がったことがある。日本でも1980年代後半のバブル期には、皆が「地価は上がり続けるもの」と土地神話を信じた。
資産運用に熱が入りすぎると、冷静さが失われ、熱狂的な投機へと発展していく。財テクに走る中国企業も同じ失敗を繰り返すかもしれない。
【プロフィル】関辰一
せき・しんいち 08年日本総合研究所入社、15年から調査部副主任研究員。専門分野は中国マクロ経済。35歳。中国上海出身。
http://www.sankeibiz.jp/macro/news/170821/mcb1708210500014-n1.htm