「レッドライン」が騒がしい。17日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領の記者会見。彼は「北朝鮮が大陸間弾道ミサイル(ICBM)を完成し、そこに核弾頭を搭載して兵器化すること」がレッドラインだと話した。左右いずれも心配だ。心配する内容は全く異なる。

進歩陣営は自ら足を引っ張ることになるか懸念する。ICBMに核弾頭を搭載するのは遠くない。北朝鮮はすでに成功したと主張する。その時、我々は何をするだろうか。軍事行動ではなくても保守強硬派の声が大きくなるしかない。

我々は北朝鮮の核開発に対して心の中で数多くのレッドラインを引いてきた。プルトニウム抽出、ウラン濃縮、起爆実験、核爆発実験…。その後にも核実験を見守りながら数えきれないほど警告した。しかし、その都度改めて次の線を引いた。

ミサイルにはより一層無感覚だった。日本がグアム・アラスカが射程圏に入ったとして他人事のように見守っていた。日本や米国が射程圏に入るのは同盟戦略に絶対変数だ。集合と連衡がなぜ重要だろうか。

「レッドライン」を公開してからは退くことはできない。オバマ前米大統領は2012年、シリアの化学武器の使用にレッドラインを引いてひどい目にあった。ジョン・マケイン上院議員から「そのレッドラインは揮発性インクで引いた模様」と揶揄された。

保守陣営はなぜ「ICBMに核兵器搭載か」で不満だ。ノドンミサイルだけで韓国全域が射程圏だ。ICBMが脅威するのは米国だ。米国でもないのになぜそんなに一歩退いて線を引くのかということだ。

しかも、緩いレッドラインの提示はその以前の挑発は容認するという誤解を招きかねないと非難する。

自分のカードをすべて見せれば賭博で負ける。交渉力が低下する。直ちに「警告の意味」として退いたからカードだけ見せて脅威はできない格好だ。

トランプ米大統領は先週、スティーブ・バノン米首席戦略家を解任した。「米国に軍事的解決法はない」「北核凍結と在韓米軍の撤収交換」を主張したためだ。

米国で多く取り上げられたアイデアだ。ヘンリー・キッシンジャー元国務長官も同様な提案をした。バノン氏が民間専門家なら問題になることがない。しかし、高位官僚は違う。交渉カードを見せることになる。

失言だ。強調して警告したと受け止めて通るのが正しい。言葉尻をとらえたところで北朝鮮があざ笑うだけだ。本来心配する問題は我々の中にある。我々の中に引かれたもう一つの意味のレッドライン、葛藤線だ。

文大統領は「韓半島(朝鮮半島)での軍事行動は大韓民国だけが決定でき、誰も大韓民国の同意なしに軍事行動を決めることはできない」と話した。北朝鮮が我々に尋ねるわけがないため、米国を狙った発言だ。

トランプ大統領の「火炎と怒り」発言を牽制したものだ。しかも、トランプ大統領は文大統領と似たような発言をしたバノン氏を解任した。韓米連携が不安にならざるを得ない。見せてからぶつかるのは非公開調整が難しいという意味だ。

文大統領は18日「金大中(キム・デジュン)の道に従って南北が再び会って希望が開かれるだろう」と話した。しかし、金大中のような現実主義者もいない。「大衆より半歩先を行くべきだ」という彼の言葉通りだ。教祖的ではならない。

状況に合わせて弾力的に推進しなければならないという考えが明らかだった。彼は対北朝鮮政策を推進しながらもとても慎重だった。南北首脳会談を成功させるために米国を説得した。政府だけではない。学者まで会って熱心に自身の考えを広げた。

韓国でも寓話まで引用して大衆の目線に立って説得した。保守学者から手助けも得た。

それが対北朝鮮交渉力になった。もうその時より事情はさらに難しくなった。核とミサイルは遠のいた。我々が北朝鮮に与えることができるのがない。金?安全?国連安保理制裁で資金源が断たされた。

核兵器を保有した北朝鮮は我々とは違うと考えている。安全を保障するという言葉が無力だ。韓米間異見が大きくなるほど、米国の軍事行動を止めてくれるという約束は力が抜ける。

http://japanese.joins.com/article/575/232575.html
http://japanese.joins.com/article/576/232576.html

>>2以降に続く)