【ワシントン=黒瀬悦成】ティラーソン米国務長官は22日の記者会見で、北朝鮮が今月5日の国連安全保障理事会による制裁決議の採択以降、「弾道ミサイル発射や挑発行為に及んでいない」と指摘し、「近い将来」に米朝対話が実現することに期待を表明した。

ティラーソン氏は、「北朝鮮は、これまでに見たことのない程度の自制を示している」とし、「北朝鮮は、さらに前向きな動きを示す必要があるが、ここまでの彼らの取り組みは喜ばしい」と述べた。

同氏はまた、最近の北朝鮮の行動について「北朝鮮が緊張と挑発行動を抑制する用意があり、米朝による何らかの対話に道を開くという、米国が求めていたシグナルの始まりであることを希望する」と語った。

トランプ大統領は今月16日、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が米領グアム沖への中距離弾道ミサイル発射計画を一時保留すると表明したことに関し、ツイッターで「非常に賢明な判断だ」と評価。

このときは、国務省報道官が「北朝鮮との対話再開の条件としては不十分だ」と述べていた。

トランプ政権は、金正恩体制との対話は北朝鮮の核放棄につながることが不可欠であるとの立場を維持しており、ティラーソン氏による今回の発言は、対話に向けた北朝鮮の意思を探る狙いがあるとみられる。

米政権としては、21日から韓国と実施している年次合同軍事演習「乙支フリーダム・ガーディアン」(UFG)」などを通じて北朝鮮に対する軍事的圧力を維持する一方、対話の用意を打ち出すことで、北朝鮮がさらなる挑発行為に踏み切るのを抑止する意図も込められているもようだ。

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記者会見をするティラーソン米国務長官=22日、ワシントン(ロイター)