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2017/08/23(水) 16:37:51.67ID:CAP_USER* * *
中国では今、都市部を中心に社会的企業がちょっとしたブームになっている。特に、若い人たちの関心が高いのが特徴だ。
昨年、日本のNPO法に相当する「慈善法」が成立し、社会課題の解決に取り組む活動をする団体を慈善組織として法的に位置づけ、今後寄付も集めやすくする。
政府は同時期に中国国内で活動する人権系などの海外NGOを規制する法律も作っている。日本では規制や厳しい取り締まりのほうが注目されやすいが、それだけではない世界も急速に広がっている。
都市と地方の格差や農村の貧困問題、教育、医療、環境など中国には社会課題がてんこ盛りで、政府の力だけでは対応しきれない。
しかも、経済的に豊かに育った若い世代や、ビジネスで成功して、第二の人生では社会課題の解決に取り組みたいという層がいる。ネットなどのテクノロジーを駆使しているのも特色だ。
北京で6月に開かれた社会的企業・投資フォーラムは今年で3回目になるが、全国各地から1千人が集まり、多くのセッションが開かれて大盛況だった。イタリアの研究者や南アフリカの社会的企業・投資家も招いて、国際色も豊かだ。
●モバイル保険の先進国
セッションで発表した喬克(チャオコー)氏(38)は、医療互助組織である「衆托幇(ジョントーバン)」を昨年立ち上げた。モバイルを利用した安価な民間保険のイメージ。
河南省出身で西安の大学の修士号を得た後、民間の大手保険会社でキャリアを積み、昨年起業した。
中国では公的保険があるものの、必ずしも全ての傷病をカバーしきれていない。民間の保険は高額で入れない人たちも多い。
そこで定額の会費を出し合って、いざ病気にかかったら、お互いに支え合う仕組みをつくった。「公的保険と商業保険の空白を補うもの」だという。
年齢別などで四つのタイプがあり、入会するには最初に10元(約170円)払う必要がある。
誰かが病気になったら会費から引かれるが、1人で1回に負担する額は3元以内で、病気になったら最大で30万元(約510万円)の保障が受けられる。手続きはすべてモバイルだけで済ませられるシステムだ。
2016年7月にサービスを始めてまだ1年ほどだが、すでに会員は800万人を数えるという。
中国にはこの種の「モバイル保険」が今多く出ており、中には詐欺まがいのものもあるというが、「衆托幇」ではすでに三十数件保障したケースがあるという。28歳の男性は、肺がんの一種であることがわかり、30万元が支払われた。
●他者の幸せが自分の力
起業するにあたっては1億元(約17億円)の投資を受け、今はまだ赤字だが、19年には黒字化する見込みだという。
喬氏は「ビジネスの本質はお金もうけではなくて、社会課題の解決だと思う。中国では貧困に悩む家庭が多いが、病気が原因のことも多い。そういう家庭を救いたい」という。
王周(ワンチョウ)氏(39)は、成都から飛行機に3時間乗ってフォーラムにやってきた。高齢化社会に対応する健康検査の機械会社を起業したが、事業拡大のために投資家を探す目的だ。
投資を募りたい人が次々にスピーチするセッションに参加して、投資家とも出会えたという。「このフォーラムは社会起業家にとっては大きなイベントだから。わざわざ来た甲斐があった」と満足げだった。
女性の企業家もいる。
楊さん(30)は、黒竜江省出身だ。故郷の大学を出てから北京で金融やネット企業で働いた後、15年に「億人幇(イーレンパン)」を起業。昨年からサービスを開始した。
「ネットを使ってビジネスと公益をつなぐプラットフォームをつくりたい」といい、すでに中国のネット通販最大手アリババグループの個人通販サイト「淘宝網(タオバオ)」と組んでプロジェクトを実施した。
自閉症やエイズ患者の支援に取り組む団体とも連携し、タオバオのサイト上に団体の活動内容を載せる。団体のサイトに飛べば、寄付も可能だ。
https://dot.asahi.com/aera/2017082200041.html
(>>2以降に続く)