「ストにより現代・起亜自動車が風邪をひくなら、中小協力会社は肺炎になります」。

現代自動車、起亜自動車、韓国GMの1次協力会社であるヨンシン金属工業のイ・ジョンウ社長の哀訴だ。

今年創立50年のヨンシン金属工業は平沢(ピョンテク)の浦升(ポスン)工業団地に位置する工場で、620台の生産設備により車両用工具とボルト・ナットを製造する企業だ。

売り上げの96%を韓国の自動車メーカーに納品しているため韓国の自動車産業動向が業績を直接左右する。

中央日報とのインタビューでイ・ジョンウ社長は「自動車メーカーの労使紛糾は自動車メーカーだけに被害を与えると思われているが、実際は中小協力会社がさらに大きな被害を受けている」と主張した。

昨年現代・起亜自動車労働組合が過去最長のストを行ない発生した損失規模は5兆3000億ウォンだったが、この期間に1次協力会社は2兆6800億ウォン、2次協力会社は1兆700億ウォンの損害を受けた。

絶対規模では協力会社が自動車メーカーより少ないが、調達できる資金に限界がある協力会社の立場では耐えがたい金額だ。

自動車メーカーの立場でストは時間が流れれば消える「あざ」なら、協力会社にとってストは時間が過ぎても傷跡が残る「やけど」のような事件だ。自動車メーカーはストをすれば工場が止まるが、部品メーカーは生産設備を完全に止めることもできない。

部品メーカーは自動車メーカーの組み立てのタイミングに合わせて関連部品を供給する生産システムのためだ。

工場の従業員に出勤しないでくれと言うこともできない。法的な問題も発生し、自動車メーカー労組がいつ突然ストを解除し納品を求めるかも知れないためだ。

イ社長は「自動車メーカーがストをすれば420人の工場労働者は残業をしないだけで、1日9時間工場で待機する。自動車メーカーがストをやっても協力会社は平常時の80〜90%程度のコストが着実にかかる」と説明した。

突然ストを解除しても問題だ。普段より多い物量納品を要求することになれば特別勤務人材を確保し人件費がさらにかかる。彼は「ストで発生した各種浪費要因はそのまま営業損失になる」と話した。

ストで売り上げが突然消えれば発生する問題はまだある。長期的に資金圧迫に直面する。彼は「最近銀行は四半期ごとに格付けにより利率・貸出限度などを決める。前四半期の売り上げに問題があったとすれば次の四半期の決算過程で格付けを低くする」と話した。

より高い利子を払ってより少ない資金を借りることになり、費用比の生産性が低くなるという意味だ。

これは未来成長潜在力まで足を引っ張る。資金圧迫で引き締める時に最初に縮めるのは研究開発資金であるためだ。実際にヨンシン金属工業は2年前には売上額の2.3%以上を研究開発に投資した。

この過程で現代・起亜自動車のヘッドライトに使われるピボットランプ専用ボルトを開発することもした。独自の研究開発で開発したこの部品のおかげで独占供給権も獲得した。

だが「ストで金融費用が増えれば研究開発以外にすぐ減らせるところはない」というのがイ社長の説明だ。彼は「研究開発を減らせば企業の成長性も下落するということを明らかに知っていながらもやむを得ず研究開発費用を減らしている」と話した。

ストが引き起こすさらに大きな問題は、韓国自動車産業の生態系を破壊するという点だ。自動車産業は下請け企業が段階的に1万個の部品を組み立てて上位業者に納品してひとつの車を完成させる。

例えば車の窓をボタンで開け閉めする装置であるウインドウレギュレーター製品は3次ベンダーがモーター付属品を製造し、2次ベンダーがモーター完成品を作ると、1次ベンダーがウインドウレギュレーターを完成する形だ。

自動車メーカーはこのキットを受け取り車両に組み立てる。

こうした垂直的構造で損失が発生すれば上位企業は損失の一部を下請け業者と分担するほかはない。例えば自動車メーカー労組がストを行ないキットの在庫損失が発生したとすれば1次ベンダーが2次ベンダーに在庫・損失費用分担を要求する。

http://japanese.joins.com/article/652/232652.html

>>2以降に続く)