韓国の伝統料理であるキムチが、ヨーロッパで人気を集めている。

例えば韓国農水産物流通公社が発表した「農水産輸出支援情報」によれば、今年の上半期、イギリスへのキムチの輸出額は121万ドル(約1億3300万円)で、前年の同時期と比べて28%も増えている。

さらにオランダを見ても、輸出量は116万ドル(1億2700万円)に上り、前年比8%増加している。

キムチの輸出量全体としては0.9%しか伸びていないことを考えると、これは驚異的な数字だと言えるだろう。

キムチが人気を集めている理由

では、なぜ今、ヨーロッパでキムチが人気を集めているのだろうか。

理由の一つには、ヨーロッパで発酵食品に関心が集まっていることがあるだろう。

実際、昨年には、イギリスのBBCがキムチの効能について大きく取り上げている。

報道では、「キムチは生きた微生物を含有している」と伝えられ、糖分が多く含まれる西欧式の食べ物ではなく、発酵食品が豊富な韓国料理や中国料理を食べることを奨励している。

また、イギリスのフード・ジャーナリストで、日本でも著書『英国一家、日本を食べる』がNHK総合テレビでアニメ化もされているマイケル・ブース氏も、「発酵食品がブームとなり、イギリスではキムチを食べる人が増えている」と証言している。

フランスから来た夫婦の証言

理由はそれだけではないだろう。

今年、韓国の伝統文化にフォーカスを当てたドキュメンタリー映画を撮影するためにフランスから訪韓したセシル・クロシュイ氏は、韓国人がキムチを漬ける現場を訪ねた際、こう語っている。

「全世界が韓国と平昌五輪に対して大きな関心を持っている中、韓国の人々が、自身の文化と伝統をどのように愛し、受け継いでいるのかをドキュメンタリー作品にしたかったのです」

ヨーロッパで最近、K-POPをはじめとした韓国の現代文化が浸透していることを受け、韓国の伝統文化に着目したという。

たしかにK-POPアイドルの世界進出は好調だ。

例えば日本でも人気のボーイズグループ防弾少年団は、セカンドアルバム『WINGS』が、スウェーデンやデンマークなどヨーロッパ諸国を含め世界27カ国のiTunesトップアルバムチャートで1位を占めたこともある。

「Do you know キムチ?」を毛嫌い

ただ、こうした状況を、本国である韓国の人々は、複雑な感情を抱いて見ているかもしれない。

というのも、韓国の若者たちは、外国人に対して事あるごとにキムチをアピールすることに拒否反応を示しているからだ。

いずれにしても、ヨーロッパでキムチの人気が高まっていることは事実だが、はたして、これからも需要は伸びていくのだろうか。

引き続き注目していきたい。

(文=S-KOREA編集部)

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