沈没した豪華客船「タイタニック号」生還者の中に、6人の中国人が含まれていた?彼らはどうやって生き延びたのか?そしてどこに行ったのか?英国人監督アーサー・ジョーンズ氏は、制作中のドキュメンタリー「The Six」で、この知られざる歴史を明らかにしようと試みている。新華社が報じた。

ジョーンズ監督は29日、「2年ほど前、海洋の歴史を研究する友人から、100年あまり前に沈没したタイタニック号に8人の中国人が乗っており、そのうち6人はあの厳しい海難事故から逃れて生き残ったことを聞いた」と話した。

他の多くの人と同様、同監督はこれまで、大型客船タイタニックが氷山に衝突して沈没した事件があったという事実を知っていただけで、中国人が乗っていたことについて、聞いたことも注目したこともなかったという。

ジョーンズ監督の制作チームが入手した資料によると、タイタニックに乗っていた8人の中国人は香港出身の乗組員で、当時、中国と欧州を行き来する貨物船で仕事をしていた彼らは、米国に移住したいという夢を抱いていた。

1912年4月、8人は英国から「絶対に沈没しない」と言われていたタイタニックに乗船し、ニューヨークに向かった。彼らは、1枚約50英ポンドの団体チケットで乗船し、三等客室で起居し、船内でボイラー工として働いた。船が氷山に衝突したのち、8人のうち5人は最後の1隻となった救命ボートに乗ることができた。

残る3人のうち1人は、海に落ちたが、板につかまって漂流しているところを救助船に助けられ、一命をとりとめた。

これら6人の生還者はニューヨークに到着したが、彼らを待ち受けていたのは、他の生還者が受けたような歓迎や慰めではなく、米国が当時実施していた「排華法(中国人排斥法)」だった。6人は、到着後24時間以内に米国を離れるよう求められた。

ジョーンズ監督と友人の米国海洋史研究家のSteven Schwankert氏は、「6人は到着翌日、やむを得ず米国を発ち、その後の音信は途絶えた。これが、彼らが残した記録が一切存在せず、真実を知る人が誰もいないという結果となった主な原因かもしれない」との見方を示している。

また、当時、欧米の一部メディアでは、「中国人の生還者6人が『密航者』である」と報じられ、彼らが一命をとりとめたのは、こっそり乗船したあるいは女装し、救命ボートに紛れこんだからだと伝えたられた。ジョーンズ監督は、この報道について、「差別に満ちたもので、公正さに欠けるデマだ」と断言している。

ジョーンズ監督は、次の通りコメントを続けた。

「我々は、国内外の多数の史料保存館や博物館を訪れ、米国と中国の歴史学者と協力し、多くの人が見過ごしてきた歴史的証拠をこの目で見ている。明らかに、これらの噂は全く根拠に欠けるもので、彼らが女装して救助船に乗り込むところを目撃した人は一人もいない。当時のくだらない噂をやみくもに事実として認めることはできない」。

現在、ジョーンズ監督は、上海のスタジオで「The Six」を制作中という。この来年放送予定のドキュメンタリーは、2つのストーリーを巡って展開していく。そのうち1つは、6人はどうやって助けられ、その後どこに行き、家庭や仕事を持ったのかどうかを追跡している。

もう1つのストーリーは、彼らの子孫の感情を中心に進んでいく。制作チームは、6人の子孫探しのため、米国、英国、カナダ、キューバ各国を訪ね歩いた。

ジョーンズ監督は、「我々は、彼らの中の数人の子孫を探し出した。彼らの子孫は我々の取材を歓迎してくれ、自分たちの先祖がタイタニックの生還者であることに間違いはないと証言してくれた」と話した。(編集KM)

http://www.recordchina.co.jp/b189333-s10-c30.html