>>1の続き)

そうなると、日本は対中国、対ロシアなどに対する抑止力を自身で構築することが必要となり、核武装だけでなく通常兵器と兵員についても、数倍のスケールの増備をしなくてはなりません。

これに核攻撃力の構築と維持のコストが乗っかるわけで、ただでさえ人口減と競争力低下に苦しむ日本経済は、これに耐えられるとは思えません。

2017年の現在、日本にとって核武装という選択は、以前より一層非現実的になっています。

冷泉彰彦(れいぜい あきひこ)
ニュージャージー州在住。作家・ジャーナリスト。プリンストン日本語学校高等部主任。1959年東京生まれ。東京大学文学部卒業。コロンビア大学大学院修士(日本語教授法)。福武書店(現ベネッセコーポレーション)勤務を経て93年に渡米。
近著に『アイビーリーグの入り方 アメリカ大学入試の知られざる実態と名門大学の合格基準』(CCCメディアハウス)、『アメリカモデルの終焉』(東洋経済新報社)など。
メールマガジンJMM(村上龍編集長)で「FROM911、USAレポート」(www.jmm.co.jp/)を連載中。週刊メルマガ(有料)「冷泉彰彦のプリンストン通信」配信中。

(おわり)