若い層には知らない人が多いかもしれない。かつて日本の新聞は「北朝鮮」と単独表記しなかった。記事の最初に国名を書くときは必ず一度「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)」と併記した。テレビなども「北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国」と併称した

▼一度こう表現すればあとは北朝鮮で通した。「共和国」と表記せよと北朝鮮政府や在日の団体が抗議、デモを繰り返し、1970年代中ごろから併記が定着したと記憶している。今のように「北朝鮮」だけになったのは15年ほど前である

▼きっかけは、北朝鮮による日本人拉致事件だ。北朝鮮当局への国民感情の反感も強まり、もう気遣いの必要もなかろうと、民主主義人民共和国の表記は消えた

▼ついでながら、北朝鮮を建設した金日成は、第2次大戦後に朝鮮半島北部を占領した当時のソ連の独裁者スターリンが、旧満州で抗日ゲリラとして名をはせたとしてトップに据え、新たな伝説を加えて神格化に成功した人物である

▼その孫、金正恩朝鮮労働党委員長は愚かな暴挙を繰り返す。安倍首相は各国首脳と電話会談を重ねるが、ここは米国もさることながらロシアや中国に本気で対応せよと迫るのがより妙計ではないか。(佐)

ソース:山口新聞 2017年9月5日(火)
http://www.minato-yamaguchi.co.jp/yama/shikifu.html