9月3日に北朝鮮が強行した核実験によって北部の広い地域で強い揺れが発生し、建物が倒壊したり家財道具が壊るなどの被害が出ていることが分かった。(カン・ジウォン)

◆地震か? 戦争か?

9月6日、咸鏡北道会寧(フェリョン)市に住むアジアプレス取材協力者は、核実験実施時の状況について次のように伝えてきた。

「大きく揺れたので地震だと思って飛び出ました。古いアパートに住む人たちは、崩れるのが恐ろしくて家に入れませんでした。台所の食器が落ちて割れ、戦争でも起きたかと思って肝をつぶしました」

同日、咸鏡北道茂山(ムサン)郡に住む取材協力者も、

「ここも、地震のように家が大きく揺れて驚きました。その後(当局の)発表を聞いて、やっと核実験だったことが分かりました」と核実験時の様子について語った。

被害地域である会寧市と茂山郡は、核実験場のある咸鏡北道吉州(キルジュ)郡豊渓(プンゲ)里と、直線距離で各々約150キロ、約115キロ離れている。

◆壁崩れ家屋倒壊も

強い揺れによって、建物倒壊や家財破損などの被害も出ているという。前出の会寧市の取材協力者は次のように言う。

「農村の被害が目立ちます。●●里では古い家が何軒か倒壊しましたし、会寧市内では建設中のアパートの片方の壁が崩れ、倒壊した倉庫もあります。人命被害があったかは分かりません。

わが家は、外壁の塗装が剥がれ落ち、壁に掛かけていた大きな鏡が割れて、危うく子供の頭に当たるところでした。ちょうど昼飯時だっのでスプーンを持ったまま飛び出しました。家にも入れず近所の住民と集まって何事だろうと話をしていると『重大発表』があって、皆拍子抜けしました。

(核実験やると)知らせればいいのに。事故が起こったらどうしますか。(当局は)どうせ住民の命に神経なんて使うはずがないでしょうが」

と、安全無視の政府のやり方に不満を吐露した。

※アジアプレスでは、中国製の携帯電話を北朝鮮内部に投入して連絡を取っている。

http://www.asiapress.org/apn/author/north-korea/post-55122-nuclear-test
http://www.asiapress.org/apn/author/north-korea/post-55122-nuclear-test/2/

http://d3k61sbnyqzti7.cloudfront.net/apn/wp-content/uploads/2017/09/20170907-00010000-asiap-000-1-view.jpg
(参考写真)北朝鮮の農村には老朽化した家が多い。今回の核実験による揺れで農村の家屋に被害が出たという。2007年10月沙里院市にて撮影アジアプレス
http://d3k61sbnyqzti7.cloudfront.net/apn/wp-content/uploads/2017/09/20170907-00010000-asiap-001-1-view.jpg
核実験による揺れで被害が出た茂山郡。2016年10月に中国側から撮影(アジアプレス) 2016年10月
http://d3k61sbnyqzti7.cloudfront.net/apn/wp-content/uploads/2017/09/20170907-00010000-asiap-002-1-view.jpg
「宇宙を征服したその精神、その気脈で強盛大国建設の転換局面を開いていこう!」というスローガン。2013年3月に平安南道平城市にて撮影(アジアプレス)