【時代の正体取材班=石橋 学】朝鮮学校のみを高校無償化の対象から除外した判断の是非を巡って東京地裁が13日に判決を言い渡す予定の訴訟で、被告の国が弁論を再開するよう同地裁に申し立てていたことが6日分かった。

弁論は5月に終結しており、原告側は「再開すべき新たな事情はない」として、申し立てを認めないよう求める意見書を5日、同地裁に提出した。

国の申立書は1日付。拉致問題を理由にした朝鮮学校の無償化除外は違法とし、国が全面敗訴した7月の大阪地裁判決について「判断に多くの誤りがあり、東京地裁で新たな証拠を追加して主張する」としている。

原告側は▽別件である大阪地裁判決についての主張は控訴審で行うべき▽提出予定の証拠は弁論終結前に提出可能で「新たな証拠」に当たらない−と指摘。

「弁論終結後3カ月以上もたってから新証拠として提出することは民事訴訟法上許容されるべきではない」として、弁論再開は「不必要で不相当」としている。

国は申し立てに当たって関係資料を裁判所に提出している。原告側は、偏見や悪印象を与え得る「証拠」を受け取ったまま判決が言い渡されれば「『本来、採用が許されない資料を参照した』という誤解を生じさせかねない」と指摘。国の提出資料を差し戻すことも併せて求めている。

原告は東京朝鮮中高級学校高級部の生徒(提訴当時)62人。大阪での訴訟同様、教育の機会均等とは無関係な拉致問題という政治・外交上の理由で無償化の適用除外としたのは制度の趣旨に反し、違法だとして国に損害賠償を求めている。

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