日本の排他的経済水域(EEZ)内などで相次いでいる外国漁船の違法操業に対抗し、水産庁は、二〇一八年度に最新鋭の密漁取締船三隻を投入する計画をまとめた。北朝鮮や韓国、中国船などの活発な操業や高性能化に対応する。また、二〇年度の完成を目指し、日本海に配備している取締船一隻の後継船の建造にも着手する方針だ。

取締船の更新を含む外国漁船対策の関連費全体で、一八年度予算の概算要求に二百七億円を計上した。一七年度当初予算比で56・5%増やし、水産資源を守る重要性を主張して財務省と折衝する。

取締船はEEZ内での密漁や、許可条件に反した漁船に対し立ち入り検査や拿捕(だほ)などの権限を持つ。計画では民間からのチャーター三十七隻のうち二隻を最新鋭に更新し、さらに一隻を加える。水産庁が保有する七隻と合わせて計四十五隻態勢とする。船を増やすのは四年ぶり。高速な違法船に対応し、荒波に強くしてレーダーなどの装備を高度化する見通しだ。

一方、二〇年度完成を目指すのは水産庁保有の「白嶺丸」で、規模を二倍の千トン級にする。

周辺国の漁船の増加は各地で問題になり、近年は日本海のEEZ内の「大和堆」と呼ばれる好漁場で北朝鮮、中国籍とみられる船のスルメイカ違法操業が横行。沿岸自治体は漁場の占領や資源枯渇を懸念しており、対策が急務になっている。

太平洋の北海道・東北沖では、EEZのすぐ東側の公海に中国や台湾の大型サンマ漁船が集まり、中には国籍不明船や自国の操業許可のない船も目撃されている。国際ルール順守を関係国に迫る上で、周辺海域の監視強化も課題だ。

<排他的経済水域(EEZ)> 漁業や天然ガスの採掘などに関して沿岸国の経済的な権利が及ぶ海域。「海の憲法」と呼ばれる国連海洋法条約に基づき、政府は沿岸から12カイリ(約22キロ)までを領海、200カイリ(約370キロ)までをEEZと定めている。日本のEEZは水産資源が豊富で世界の主要漁場の一つ。
中国やロシアなど一部の国とはEEZ内での操業条件を相互に決める政府間協定を締結している。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201709/CK2017090902000242.html

http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/list/201709/images/PK2017090902100164_size0.jpg
東シナ海で韓国漁船(手前)に取締船(右奥)から立ち入り検査に向かう水産庁の職員=2016年11月(水産庁提供)