ヘイトデモやインターネット上の差別書き込みで在日コリアン市民の人権侵害が深刻化している川崎市で30日、人種差別を禁止する条例の早期制定を求める集会が開かれた。参加者で集会決議を行い、差別根絶に向け市と議会、市民が一体となった「オール川崎」での取り組みを確認した。

川崎区桜本で差別のないまちづくりに取り組む社会福祉法人青丘社の「(ペ)重度(ジュンド)理事長は制度的差別の撤廃を行政交渉で実現させてきた長年の運動を振り返り、「差別の解消は公平平等な日本社会をつくること。ヘイトスピーチの問題も思いを同じくする行政マンと連帯していきたい」と語った。

関東学院大非常勤講師で社会学者の明戸隆浩さんは、ヘイトスピーチ解消法施行後も続く深刻な現状や横行する人種差別の実態を報告。

師岡康子弁護士は東京・世田谷区が打ち出した条例案などを紹介し「解消法が自治体に求める責務と人種差別撤廃条約上の義務を果たすためには人種差別禁止条例が必要。他自治体でも制定を求めて声を上げることが川崎市の取り組みの支援になる」と連帯の輪の拡大を呼び掛けた。

集会は「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」が主催し、市議会議員を含め約200人が参加。元自民党参院議員で県、川崎市日韓親善協会会長の斎藤文夫氏の「一部の心ない人たちを排除するため、人権擁護の立場から実効性のある『ヘイトスピーチ撃退条例』を市と議会の協力の下、早急に作るようお願いする」とするメッセージも読み上げられた。

https://www.kanaloco.jp/article/281299


人種差別禁止条例の早期制定を 川崎市内で集会

市民団体「『ヘイトスピーチを許さない』かわさき市民ネットワーク」は30日、川崎市川崎区東田町の市労連会館で、人種差別を禁止する条例の早期制定を求める集会を開いた。市内における差別解消の歴史や、諸外国での法整備の状況などについて報告があった。 (大平樹)

社会福祉法人青丘社のペェ重度(チュンド)理事長は、企業採用時に指紋押なつが課されていたことや、公営住宅に入居できなかったことなど、過去の外国人差別と解消の歴史を振り返り、「ヘイトを自らの手で絶っていく歩みを進めていかないといけない」と語った。

関東学院大などの非常勤講師を務める社会学者の明戸(あけど)隆浩さんは、自由を侵害されることは誰にも起き得るが、「外国人などのマイノリティー(少数派)はより多くの被害を受ける」と指摘。

対象が不特定な差別の扇動はヘイトスピーチと認定されづらいものの、直接的な差別を引き起こす可能性があることから「ある種の(差別の)根っこになる。ここを何とかしないといけない」と述べた。

ヘイトスピーチ解消に取り組む師岡康子弁護士は、日本が批准した人種差別撤廃条約が、人種差別の禁止に向けた取り組みを国だけでなく地方自治体にも求めていることを紹介。「川崎市の取り組みは先行しているから攻撃をされるが、地元で条例をつくっていくことが重要だ」と話した。

集会には約百二十人が参加。「川崎市がヘイトスピーチ対策の取り組みに緩慢で、ヘイトスピーチを根絶する強固な意志を明確にしない」などと指摘する決議文を採択した。同ネットワークは二日、市議会や市に提出する。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201710/CK2017100102000118.html

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1970年代に始まる差別撤廃運動を振り返る「理事長=川崎市川崎区
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201710/images/PK2017100102100040_size0.jpg
講演する明戸隆浩さん=川崎市川崎区で