【環球異見・トランプ米大統領の国連総会演説】
中央日報(韓国)「全面戦争が絶対に起こらないとは、誰も確信を持って言えなくなった」


韓国各紙(電子版)は、強硬発言のトランプ米大統領と、平和的解決を強調した文在寅大統領の国連演説を対比して報じた。

 中央日報は9月21日の社説で、北朝鮮の「完全な破壊」に言及したトランプ氏の19日の演説について「戦争勃発を何より心配するわれわれとしては、身の毛がよだつ思いだ」と表現した。各国の首脳を対象にした国連演説での発言は、ツイッターなどを通じたこれまでの過激発言とは「格と重さが違う」と強調。「全面戦争が絶対に起こらないとは、誰も確信を持って言えなくなった」と危機感を強めた。

 左派系のハンギョレは20日、「好戦的かつ露骨な用語を使い、言葉の爆弾を浴びせた」と、さらに踏み込んだ表現でトランプ氏を非難。「国内の支持層に向かって強硬発言を出すことにだけに関心があるように見える」と指摘し、「朝鮮半島情勢をさらに不確実にするのは明らかだ」と訴えた。

 一方、トランプ氏の2日後に「平和」を約30回連呼した文氏の演説について、東亜日報は22日の社説で「韓米間の足並みの乱れと映る可能性もある」と懸念を示した。

同紙は「外交的、平和的解決」を繰り返した演説内容について「『地球上唯一の分断国家』の大統領として心のこもった内容だった」と一定の評価を示しつつ、「国際社会が米国を中心に対北包囲網の構築に注力する状況」下での訴えは誤解を生む可能性があると指摘。「過度な緊張激化と偶発的衝突を憂慮した発言部分は、軍事的選択肢を排除しないとするトランプ政権への牽制とみなされる恐れがある」とした。

 これに対し、ハンギョレは21日の社説で「これまでになく朝鮮半島の軍事危機が高まる状況で、『平和』を強調したことは時宜にかなっている」と文氏を高く評価。平昌五輪への北朝鮮の参加を促したことについても「平和の象徴であるオリンピックを転機とする意思を示したことは、核問題の平和的解決を支持する国際世論の拡大につながる」と称賛した。 (時吉達也)

2017.10.2 13:00
http://www.sankei.com/world/news/171002/wor1710020009-n1.html