【北京=西見由章】カズオ・イシグロ氏のノーベル文学賞受賞について、中国国営新華社通信は5日、「日系の英国作家に文学賞授与」と速報するなど中国メディアも高い関心を示した。ただ中国では村上春樹氏の知名度が圧倒的に高く、ネット上では村上氏が今年も受賞を逃したことへの反響が目立った。

 中国でもイシグロ氏の翻訳作品が出版されており、ネット上では「好きな作家がノーベル文学賞を受賞してうれしい」と祝福するコメントも。ただ多くの人の関心は村上氏に集中し「何年も候補のまま受賞せずに気の毒だ」「スウェーデン・アカデミーは村上に不満でもあるのか」などと残念がる声が上がった。

 「ハルキスト」を自任する北京在住の作家、蕭西之水さん(28)は「近年の文学賞選考は作家の文化的背景や地域のバランスを重視している。イシグロ氏は日本人というより英国人」と分析。中国人作家の莫言氏が受賞した2012年からすでに5年がたち「来年以降は村上氏が受賞する可能性が高まるのでは」と期待感を示した。

http://www.sankei.com/world/news/171005/wor1710050046-n1.html