希望の党が6日に発表した衆院選の公約と政策集には「外国人の地方参政権付与に反対」が盛り込まれなかった。小池百合子代表(東京都知事)の持論で、民進党からの移籍組が公認を得る際の条件にもなっていたのに、なぜ消えたのか。

■批判受けて? 疑問や抗議の声も

「これから進化するものが多々ある」。小池氏は6日、「反対」を公約や政策集に盛り込まないのか記者に問われると、含みを持たせた。

外国人地方参政権への反対は、希望が公認予定者と結ぶ政策協定書に明記された。小池氏はこの日、国境近くの離島を例に「一定の意図を持った人の勢力が(島内で)大きくなった時、どう国を守るのか」などと主張した。

導入に反対する長尾一紘・中央大名誉教授は、公約や政策集に盛り込まれなかったことを「非常に残念」と言う。「外国人の地方参政権の問題は安全保障と密接につながっている」と話す。

この問題が注目されたのは1990年代初め。在日韓国人らが権利を求めて運動を始めた。

最高裁は95年、永住外国人に与えることを憲法が禁じていないと判断し、98年には民主党と新党平和(現・公明党)が永住外国人の地方選の投票権を認める法案を提出。翌年には自民、自由、公明の連立政権の合意に「三党で議員提案し、成立させる」と盛り込んだが、審議は進んでいない。

国立国会図書館の調査では、フランスやドイツなどのEU加盟国は域内で相互に地方参政権を保障。韓国も05年、永住資格を得て3年以上経過した外国人に地方選挙権を与えた。

「参政権を踏み絵にするな」。6日夜、都庁前では小池氏への抗議行動があった。参加したのは在日韓国人団体「在日韓国青年会」のメンバーら約30人。朴裕植(パクユシク)会長は「今回の選挙の争点ではないのに、踏み絵に扱うことは許されない。声をあげなければ無視されてしまう」と訴えた。

参政権反対が公認の条件と知り、希望入りをやめた元復興副大臣の末松義規氏(60)。東京19区で立憲民主党から出る。希望の公約と政策集に盛り込まれなかったと知り、「世間の批判を受けて急に引っ込めたとしか思えない」といぶかった。


2017年10月7日05時00分
http://www.asahi.com/articles/DA3S13169737.html