カナダ政府の安全保障担当部門の研究者が、このたび、中国共産党当局の海外向け中国語教育機関「孔子学院」について、悪意あるスパイウェア「トロイの木馬」に例え、当局の諜報機関であると指摘した。

カナダ政府安全保障情報機関に21年以上所属していたミシェル・ジュノ―カツヤ氏は、9月30日にオタワで開かれた映画祭にパネリストとして登壇した。

中国共産党の対外ソフトパワー工作の一環である「孔子学院」の問題性を取り上げたドキュメンタリー映画『孔子の名のもとに』を鑑賞後、「彼ら(孔子学院)はスパイ機関である」「諜報活動を行う『トロイの木馬』であると結論づける研究が、多くの国で指摘されている」と述べた。

孔子学院は、中国共産党当局が「文化交流プログラム」として海外の大学や教育機関内で運営されている。孔子の名を掲げるが、カリキュラムに儒学は含まれておらず、中国語教育機関とされる。日本にも早稲田大学、立命館大学、桜美林大学、工学院大学、武蔵野大学などに設置されている。

中国教育部(文部省に相当)によると、2016年までに139の国・地域に505の孔子学院、1008の孔子課堂(大学以下のレベルの教育機関での設置された機関)が設けられた。また、2020年までに基本的に全世界に孔子学院を普及させるとしている。

カツヤ氏によると、中国共産党が海外文化交流プログラムとして推進する孔子学院の狙いは、情報・研究機関に所属する研究者から、情報収集するために設置されていると指摘した。「残念なことに、中国政府の対外ソフトパワー戦略が『友好』の名のもとに浸透している」と警鐘を鳴らした。

情報活動の専門家としての見方から、カツヤ氏は「中国に関心を持っている学生もターゲットになっている」とし、孔子学院がスパイ活動の場であるとの証拠は「いくつもある」とした。「直接的なスパイ工作員の活動とも異なる形だ」と語った。

米国大学教授協会(AAUP)は2014年6月、全米の大学に対して孔子学院の契約の継続を検討するよう通達を出している。カナダの名門マクマスター大学も2013年に孔子学院を閉鎖した。

大学側はこの決定について、孔子学院の教師は中国国内で選ばれており、授業内容に共産党がタブーとする人権問題や民主運動などを一切取り入れていないことなどから、「中国側の基準には疑問を感じており、大学の理念と沿わない」と説明した。

(翻訳編集・佐渡道世)

http://www.epochtimes.jp/2017/10/28767.html

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英国ブライトン・カレッジに設置されている孔子学院のロゴ、参考写真(Confucius Institute Brighton College)

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