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これについてイさんは、

「サムスンでも悪いことをしたら捕まるんだ、と思いました。今までは『大企業の成長=国の成長』、つまりサムスンが潰れたら全部ダメになってしまうと思っていた人は多かったと思います」

と話した。サムスンを始めとした韓国の財閥企業は一族が経営を独占する同族企業であることが多い。そうした点も韓国人からすれば納得がいかないようだ。

「私は韓国の企業が人権を尊重し、機会を平等に与えてくれることを願っています。努力に対して正当な評価がもらえる企業になってほしい。だから韓国社会の象徴ともいえるサムスンは潰れてほしいんです」

「ブラック企業があるのは日本も韓国も同じこと」

その上で、イさん自身は韓国で就職することは考えていないと語る。

「先輩からは、企業によりますが『儒教の教えの悪用では?』と思うほど上下関係が厳しく、セクハラやパワハラが横行しているところもあると聞きます。でもそれって日本も同じですよね。
けど、韓国の就職率は悪く、今からスペックを積むにも時間と余裕が足りません。なので日本での就職を考えています」

日本では2000年代以降、「韓流ブーム」を経て韓国のポップカルチャーが当たり前のように定着しているが、こうした点もイさんの気持ちを後押ししているようだ。

「今まで『韓国が嫌い』っていう日本人には会ったことがないです。韓国のドラマや料理が好きとか言ってくれる人が多くて、恵まれています。日本と韓国は全く違うと言われますけど、私は仲間なんじゃないかな、と思っています」

(おわり)