農業に従事する白南基(ペク・ナムギ)さんがデモ参加中に機動隊の放水を受けて死亡した2年前の事件について、検察は現職と前職の警察官4人を業務上過失致死の容疑で在宅起訴した。

検察は「当時、機動隊がバスで壁を作り、放水を行った行為は違法ではなかった」としたものの「白氏の死亡は警察の過失が原因であるため、警察に責任がある」とする捜査結果を公表した。

白氏の犠牲は痛ましく残念なことだ。しかし問題のデモは「民衆総決起大会」と銘打たれた非常に過激なもので、なおかつ都心のまん真ん中で行われたあまりにも危険なものだった。

そのため捜査に当たっては、デモそのものの違法性あるいは暴力性についても同時に問題視しなければならない。このデモには「労働契約の阻止」「済州営利病院の中止」「旅客船『セウォル号』沈没事件の真相解明』など、非常に多くのスローガンが掲げられていた。

しかもデモ隊は鉄製のはしごや鉄パイプなどを振り回して機動隊バスを破壊し、またこれらを使って機動隊員に暴行を加えようとした。実際に一部のデモ参加者が竹の棒を振り回して機動隊員に暴行を加える様子も目撃されている。

また彼らは歩道のブロックを破壊して機動隊員に投げ付け、鉄製の空気銃に工業用ボルトを詰めて隊員らに向けて撃っていた。さらに機動隊バスの注油口をこじ開けて火を付けようとし、バスにロープを結び付けて倒そうとした。

あるデモ参加者はバスの上にいた機動隊員を下に突き落とそうとした。その結果、113人の機動隊員が負傷し、50台のバスが大破した。

このように国家権力に対して真っ向から抵抗し、無法地帯となった現場の様子について、当時義務警察官(兵役の代わりに勤務する警察官)として機動隊員の一人だったある若い男性が動画を撮影していた。

その動画には、ある大学のマークが付いたジャンパーを着た若者が「(火を付ける)シンナーがない」と叫んだ直後、40代ほどとみられる男が「買ってこい」と怒鳴りつける様子もあった。実際に当時、機動隊バスに対する放火未遂も複数の場所で確認されている。

動画を撮影した男性は「ネットにアップされるデモ現場の動画は、機動隊が放水を行う様子ばかり映されているが、機動隊がそうせざるを得ないほどデモがいかに過激で暴力的だったかを伝えるものはない」「暴力デモの実情をしっかりと知ってほしかった」などとコメントしている。

凶器を持って自分を殺そうとする相手を制止する際、逆に相手が負傷、あるいは運悪く死亡するに至った場合、通常は正当防衛として処罰されない。当時もデモ隊は機動隊員の命が危険にさらされるほど非常に過激で暴力的であり、実際に現場では「死ね」などと本当に殺意を感じさせる叫び声もいくらでも聞こえた。

機動隊による鎮圧は、言うまでもなくこれらの違法行為を阻止する公権力の行使だった。現場は文字通り完全な無法地帯で大混乱の中にあり、そのような中で白さんは死亡した。残念なことだが、機動隊員が意図して白さんを殺害した可能性はほぼ考えられない。

そのためいくら政権が変わったとはいえ、当時現場にいた隊員たちが突然責任を追及されることには到底納得がいかないし、また暴力デモがその根本原因だったという事実もしっかりと考慮しなければならない。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2017/10/18/2017101801108.html