朴槿恵(パク・クンヘ)政権が進めた国定歴史教科書編さん事業に対し検察が捜査に着手した。2年前に歴史教科書に関する事前の意識調査が行われた際、大統領府や国家情報院などが世論の形成に介入した疑いがあるというのがその理由だ。

もちろん前政権が他人名義で大量の意見書を出していたとすれば確かに大問題だ。しかし国定教科書への反対(32万人)は当時の時点ですでに賛成(15万人)を上回っていた。また野党は反対の意見書についても「全国教職員労働組合(全教組)などが組織的に提出した」と主張している。

またそもそもこの問題に検察が関与すべきかという疑問も残る。問題の教科書はすでに廃棄され、関連業務を担当した職員らは人事上の不利益を被っている。これだけでもすでにやり過ぎだ。その上今回は検察まで捜査に乗り出すという。ここまでやる必要が本当にあるのだろうか。

現在国家情報院、国防部、教育部(いずれも省に相当)などさまざまな部処(省庁)で積弊清算委員会が立ち上げられ、過去の政権が行った政策に関する資料を次々と検察に提出している。

検察はそれらの資料に基づき「旅客船『セウォル号』日誌捏造(ねつぞう)」「大企業による保守団体への支援」「国家情報院によるネットへの書き込み」「韓国軍サイバー司令部によるネットへの書き込み」「文化・芸能関係者のブラックリスト」「地上波放送局掌握疑惑」「防衛産業不正」などについて次々と捜査を行ってきた。

前政権とその前の政権によるありとあらゆる政策に狙いを定めているのだ。

現政権の初代検事総長に就任した文武一(ムン・ムイル)氏は一昨日「(積弊清算をめぐる捜査が)次々と増え、業務上の負担が重くなっている」と述べ、関連する捜査はできるだけ早く終わらせる考えを示した。しかし今の雰囲気を見ればそうなるとは考えられない。

公職者不正捜査処なる部署が新たに立ち上げられたのは、検察がこれまで時の政権の忠犬になっていたとの反省に基づくものだ。ところが今再び検察が政権の道具となり、国全体を厳しく締め付けようとしている。公職者不正捜査処が幾つあったとしても、今のこの雰囲気が変わらなければ、ただの忠犬が増えるだけだ。

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