北朝鮮への対応が一つの争点となった22日投開票の衆院選をめぐり、産経新聞は北朝鮮有事での拉致被害者救出などについて10党にアンケートを実施した。自衛隊の活動を認める意見の他、救出の具体策検討の必要性に触れる回答が過半を占めた。

危機が高まっているとの認識が各党に広がっていることをうかがわせたが、現行法制の限界も浮き彫りになった。



質問は、拉致問題について(1)公約で言及しているか(2)担当する党内組織があるか(3)これまでどのように被害者救出に取り組んできたか(4)今後どのように取り組むか(5)有事の際、自衛隊の救出活動を認めるべきか−の5点。

全党が一刻も早い拉致問題解決の重要性で一致。大地をのぞく9党が公約で拉致問題に言及した。一方で(5)については見解が分かれた。

自民は、憲法上、自衛隊の活動は限界があり、有事には米国の協力を得る重要性を強調したが、対策に検討の余地もあるとした。公明も「仮定の質問に対する回答は控えたい」としながらも同様の意見。希望は可否に言及しなかったが、検討する意向を示した。

社民は活動に反対で外交での危機回避を主張。共産は外交が被害者帰国につながるとし、活動の可否に言及しなかった。立憲民主は外交力で有事を防ぐとした一方、被害者救出では自衛隊が憲法の範囲内で活動すると主張した。

大地は「あくまで他の手段を尽くした上での最終手段でなくてはならない」とし、外交努力優先の姿勢を強調。一方、維新は超法規的な自衛隊の活動に反対しつつ、立法議論を始めることに積極的賛成だとした。

これに対し、日本のこころは現行法制上でも自衛隊の活動は可能と判断。幸福は「憲法9条の適用除外により直ちに自衛隊を北朝鮮に派遣し、被害者救出を図るべきだ」と主張した。

現行法では自衛隊が被害者を救出するには北朝鮮の同意が必要で、現地で邦人を捜索する権限もない。

政府は有事の被害者保護では米国に情報提供し、救出の協力を求める立場。北朝鮮政権が崩壊し、国連決議で設置される可能性がある暫定統治機構の同意に基づき、米軍などの第三者が保護した被害者を救出する案も検討している。

自衛隊は武器使用が制限されるため、作戦実行や被害者の安全確保でも米側に大きく依存することになる。

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朝鮮半島有事の際、拉致被害者の救出に自衛隊の活動を認めるか

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