【中国】第19回共産党大会の「青空」はわずか1日で消えた 違法工場を閉鎖、串焼きも工事も停止したのに…ネットに集まる反発[10/27]
■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています
中国共産党第19回全国代表大会(略称:第19回党大会)が北京市の“人民大会堂”で10月18日から24日まで開催され、全国代表2280人、特別招請代表74人の合計2354人の代表の中、病気などで欠席の16人を除く2338人が参加した。
18日午前9時5分に司会者である国務院総理の“李克強”が大会の開幕を宣言した後に、国歌斉唱、革命の先達に対する黙祷が行われた。
9時9分に李克強が「“習近平”総書記に第18期中央委員会を代表して報告をお願いします」と述べると、壇上の自身の席から演台へ歩み寄った中国共産党中央委員会総書記の習近平が『“小康社会”<注1>の全面的建設に最後の勝敗を決め、新時代の中国の特色ある社会主義の偉大な勝利を勝ち取ろう』と題する報告を行った。
報告は延々3時間半に及んだが、習近平はその報告の中で中国の環境汚染に言及し、「“要防止汚染源頭,為打撃空気汚染、為争取藍天而戦闘(大気汚染に打撃を与え、青空の実現を目指して戦うために、汚染源を防止しなければならない)”」と述べて、環境汚染撲滅に向けて汚染源を根絶するべく戦う意向を示した。
<注1>“小康社会”とは「いくらかゆとりのある社会」を意味し、中国共産党は2020年までに小康社会の全面的建設を実現するとしている。
違法工場を閉鎖、串焼きも工事も停止
北京市は“十九大藍(第19回党大会の青空)”を確保して、習近平が同報告の中で言及する環境汚染に打ち勝つ中国を演出しようとした。
このため、8月から当局は新たな環境保護監察行動を展開し、北京市および周辺地域へ環境保護監察チームを派遣して違法な汚染排出などの違反行為を摘発し、数万社に上る化学工業、セメント、ゴムなどの企業を閉鎖させた。
また、9月に入ると北京市および周辺地域の鉄鋼やセメントの生産工場に対する特別監察を実施し、違反企業に対して処罰を行い、従来の罰金に替えて生産停止や工場閉鎖を命じた。そればかりか、第19回党大会を前にして北京市ではレストランや露天の羊肉串焼きも営業停止を命じられたし、建設現場は工事の停止を命じられた。
こうして迎えた第19回党大会初日の18日は晴天に恵まれて、思惑通りに“十九大藍”を実現したが、翌19日は早朝から北京市のみならず、周辺の河北省北部、天津市、山西省などの各地はどんよりしたスモッグに覆われ、北京市“気象局”は“大霧橙色預警(霧の橙色警報)”<注2>を発布した。
北京市中心部の“空気品質汚染指数(大気汚染指数)”は150を超えて4級の「中度汚染」を示し、“東四環(東第四環状線)”にある観測ステーションでは161を記録した。この汚染物質の主体はつとに名高いPM2.5だった。
<注2>“大霧預警(霧警報)”は12時間以内に出現する霧の種類により、黄色(可視範囲が500m〜200m)、橙色(同200m〜50m)、赤色(同50m以下)の3段階に分かれている。
このスモッグの影響で北京市内の高速道路は7本が閉鎖され、西南第六環状線は車両の通行が禁止された。また、市民は外出時にはいつもながらのマスク着用を余儀なくされた。
こうした状況を見た多くの北京市民は、鬱憤晴らしに「スモッグの来襲は明らかに第19回党大会の開催を祝っている」、「おめでとう、深刻なスモッグは第19回党大会の時期に我々を再び“仙境(別天地)”に招いてくれた」、「当局が懸命に青天の回復に努力したのは水泡に帰した」などと嘲笑したのだった。
中国政府“環境保護部”が発表したデータによれば、中国の大都市328カ所の大気質(air quality)は今年上半期で悪化しており、北京市(略称:京)、天津市(津)、河北省(冀)を包括する“京津冀”と呼ばれる北京首都圏では、13の都市が8月の大気質指数(air quality index)が去年同期に比べて低下し、大気中の微粒汚染物質密度は5.4%増大した。
9月末のメディア報道によれば、中国政府は鉄鋼生産が盛んな河北省の一部都市を含む北方28都市に対して、今年10月から来年3月までの6か月間に空気中の微粒汚染物質を15%引き下げる措置を採るよう命じたという。
http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/101059/102500124/
(>>2以降に続く) (>>1の続き)
また、“北京市住房和城郷建設委員会(北京市住宅・都市農村建設委員会)”は9月下旬に厳格な工事停止命令を出し、11月15日から来年3月15日までの4カ月間は北京市内の6つの区、10の新都市区および“大興区”にある“亦庄経済技術開発区”では全ての道路工事、水利工事、住宅の取り壊しや施工工事などが全面的に停止された。
ネットに集まる反発、海外ゴミの輸入は禁止へ
こうした一連の厳格な命令に対しネットユーザーは政府部門の怠慢と反発し、「大気汚染で人が死ぬ前に餓死させられる」とネットの掲示板に書き込んだし、別のネットユーザーは「当局のやり口は、禁止、取り締まり、罰金の3種の神器で、大気汚染を改善する能力はなく、ただ禁止を命じるだけ」と書き込んだ。
また、あるネットユーザーは「このような措置によって損傷を受けるのは庶民の生活であることは疑問の余地がなく、そのうち最も傷つくのは底辺の産業チェーンおよびその従業員である」と書き込んだ。
大気汚染を改善するための施策を何一つ打ち出すことなく、ただ闇雲に3種の神器を振り回すだけでは大気汚染解消の道程は遥かに遠いと思えるが、出世と保身しか考えない中国の役人には目先の事しか念頭にないのだろう。
ところで、中国は2017年7月18日に世界貿易機関(WTO)に対して今年の年末から海外ごみの輸入を禁止すると通告した。海外ごみとは、再利用可能な廃プラスチック、古紙、鉄屑、スラグ、紡織品、家電や電子機器などの資源ごみである。
中国は世界最大の資源ごみ輸入国であり、2016年は全世界の資源ごみの56%を輸入した。2016年の廃プラスチックの輸入量は730万トンを上回り、その総額は37億米ドルに達した。また、同年の古紙輸入量は2700万トンに上った。
これらの資源ごみは正規・非正規のルートで中国へ輸入され、全国各地の再生処理場を経て再生資源に加工されるが、その過程で水質汚染、大気汚染、土壌汚染などの各種汚染を発生させ、中国の環境破壊に大きく加担してきた。
中国が海外ごみの輸入禁止に踏み切ったことは、習近平が第19回党大会の報告の中で述べた汚染源根絶の一環と言って良いだろう。
「食事デリバリーのプラスチック容器」が新たに
さて、こうして汚染源の根絶に向けて歩みを進めている中国だが、国内では新たな汚染源が発生している。それは“外売送餐(食事デリバリー)”で使われるプラスチック容器である。「英国放送協会(BBC)」の中国語ネットは2017年10月21日付の記事で次のように報じている。
【1】中国ではインターネットの普及によりネットを通じて食事のデリバリーを依頼する人が、2017年6月末の時点で3億人近くに及び、しかも増大の趨勢にある。その消費額は2016年には250億米ドルであったが、2018年末には360億米ドルに増大するものと予測される。
【2】今や中国では都市の大通りや路地には必ずと言ってよいほどスクーターに乗ったデリバリー配達員の姿がある。人々はネット上で食事のデリバリーを注文して、事務室で食事が配達されてくるのを待つ。
それは非常に便利で速いが、人々に食物の浪費やプラスチック容器などによる環境汚染などを想起させる。推計では、毎日約6500万個ものデリバリーに使われたプラスチック容器がごみ箱へ捨てられている。
8月29日付の「中国青年網(ネット)」は、「デリバリーのプラスチック容器の使用量は大きく、毎週2億人分のデリバリーごみを発生させる」と題する記事を掲載した。その概要は以下の通り。
(1)昼時、北京市“海淀区”で働くメディア人の“小夏(夏君)”は昼食を食べ終わった。職場に食堂はなく、彼と同僚の昼食はいつもスマホでデリバリーを頼んで解決する。食事が終わった夏君が数えてみると、デリバリーを構成する米、主菜、副菜、汁物は一つずつプラスチック容器に盛られ、1食で4つのプラスチック容器が使われていた。
これらの容器は職場の裏にあるごみ箱に捨てられるので、ごみ箱にはプラスチック容器が山を作っていた。ネットデリバリーが飛躍的なスピードで発展し、人々の食事をすこぶる便利にした反面、これまで以上の廃棄物を産み出した。プラスチック容器はごみ捨て場へ直行し、環境に隠れた災いをもたらした。
どうすれば益々増えるプラスチック容器を少なくできるのか。どうすればデリバリー業界は環境保護に沿った発展を実現できるのか。これは多方面の施策を必要とする難問である。
(2)“美団外売(美団デリバリー)”、“餓了?(腹減ったか)”、“百度外売(百度デリバリー)”などで構成されるネットデリバリー業界が発表しているデータによれば、前述の3社が全国で1日に受け取る注文書の総量は2000万件前後であるという。
(続く) (続き)
配達が迅速で、種類が多く、支払いが便利。中国に滞在する外国人はこれを評価して、「“高速鉄路(高速鉄道)”、“支付宝”<注3>、“共享単車(自転車シェアリング)”、“網購(ネットショッピング)”を除くと、中国の“外売(デリバリー)”は新四大発明の中の一つに数えられる」と述べたという。
一般に1件の注文に対して使用するプラスチック容器は3.27個であるから、上記3社のデリバリーで毎日使用されるプラスチック容器は6000万個を上回る数量である。
<注3>IT企業“阿里巴巴集団(アリババグループ)”が提供する中国最大規模のオンライン決済サービス。
「毎日6000万個」は、一部分
(3)プラスチック容器のみならず、デリバリーに使用されるプラスチック袋、プラスチック製の箸やスプーン、フォークなどの食事用具、さらには外包装に使われるプラスチック袋などは全てプラスチックごみに属する。
プラスチック容器と食事用具の主成分はポリプロピレン、プラスチック袋の主成分はポリエチレンであり、全て非生分解性の普通のプラスチックである。
ある報道によれば、デリバリー業界が毎日消費するプラスチック袋は42万平方メートルの面積を覆うことができ、およそ15日間で浙江省“杭州市”にある“西湖”(6.5平方キロメートル)を覆うことができるという。
(4)“中餐(中華料理)”の食べ物は水分や油分が多く含まれているため、プラスチック容器が適当であり、紙容器は不適当である。一方、コストもデリバリー企業にとって重要な要素であり、プラスチック製の容器、食事用具および袋がコスト全体に占める比率は2%であり、廉価なプラスチック製品を代替する物はないのが実情である。
(5)デリバリーに使用されているプラスチック容器は本来使い捨てではない。太部分のプラスチック容器には「“可回収物(リサイクル)”」の標識がついており、まともに回収されればごみ回収工程を経て資源として再利用が可能である。
しかし、大多数の消費者は食事を終えると、プラスチック容器をごみ箱へ直接捨てるのが現実である。たとえ容器内に米や料理が残っていようとも、そのまま蓋をして捨てるから、デリバリーのごみにはプラスチックと残飯が混在し、回収作業をより一層面倒なものとする。
上記(2)にある毎日6000万個という数字はネットデリバリー業界の大手3社が消費するプラスチック容器の総数であり、3社以外の数字は含まれていない。さらに、中国各地で目にする安価な露天や移動販売の弁当屋が消費するプラスチック容器の数量も含まれていない。
ネットデリバリーを注文できるのは事務所内で執務できる比較的裕福な人々であり、屋外で肉体作業に従事する貧しい人々は露天や移動販売の弁当屋から食事を購入する。
従い、毎日6000万個はあくまで一部分の数字であり、中国全土で1日に使用されるプラスチック容器、食事用具、プラスチック袋の総量は莫大な数字になるはずである。但し、その具体的数字に関する統計資料は見当たらない。
「白色汚染」との戦いは終わらず
筆者は2008年3月14日付の本リポート『レジ袋有料化に踏み切った中国』で、「レジ袋や発泡スチロール製の弁当箱、“マルチ”と呼ばれる農業用フィルムなどの大量に消費されて投棄されるプラスチック製品による汚染を意味する白色汚染との戦いに、中国政府は本腰を入れるのか」という趣旨の記事を報じた。
レジ袋の有料化は確かに実施されたが、その他のプラスチック製品は分類が容易なペットボトルを除いて放置されたままとなっていた。
当該リポートから10年が経過した現在、従来は考えられなかったネットデリバリーが急速に発展・拡大したことから、改めてデリバリーに使用される大量のプラスチック製の容器、食事用具、袋が新たな環境汚染として注目を集めているのである。
これは決して新しい問題ではなく、今まで放置されたままとなっていた問題である。ネットデリバリービジネスは今後さらに拡大する傾向にあり、白色汚染はますますその深刻度を強めるだろう。
この古くて新しい問題は、上記(1)にあったように、「多方面の施策を必要とする難問で」、一朝一夕で解決できるものではない。
習近平が第19回党大会で行った報告の中で表明した「環境汚染撲滅に向けて汚染源を根絶するべく戦う」意向を具体化するには、白色汚染のみならず、大気、水質、土壌などの各種汚染に本腰を入れて取り組まなければならない。
(続く) (続き)
米国在住の小説家“鄭義”(1947年・中国重慶生まれ)は、今年9月に『未来10年でがん患者の群れは急増し、“癌症村(がんの村)”、“癌症河(がんの河)”、“癌症城(がんの都市)”から“癌症国(がんの国)”に向かう』と題する記事を書いた。
彼は2010年に『がんの村が都市を包囲する』と題する記事を書いたが、その後も環境汚染が深刻さを増している中国の現状を憂いて、今後10年で中国はがんが蔓延する「がんの国」になると警告を発しているのである。
中国が2020年までに小康社会の全面的建設を実現するのであれば、残り3年間で環境汚染を撲滅しなければならないと思うが、それはいかに習近平が偉大でも不可能と言えよう。
北村 豊(きたむら・ゆたか)
中国鑑測家
1949年長野県生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。住友商事入社後、アブダビ、ドバイ、北京、広州の駐在を経て、住友商事総合研究所で中国専任シニアアナリストとして活躍。
2012年に住友商事を退職後、2013年からフリーランサーの中国研究者として中国鑑測家を名乗る。中央大学政策文化総合研究所客員研究員。中国環境保護産業協会員、中国消防協会員。
(おわり) 操業停止すれば綺麗な大気が戻るのか
なら日本を侵略して工場は日本に移せば問題ないんじゃね?
はよやれ 大気汚染に関しては自動車やバイクと火力発電所の排ガス基準が甘いから規制解除したらこうなる >>7
暖房を粗悪な石炭使ってるから、変わらない
というか、仮に日本に工場を移せても汚染地域が広がるだけ >>12
イヤイヤ南朝鮮も大気汚染では本家にひけを取らないよ 何を発展、発達させても公害が問題になるのが中国社会。 >>1
ゴミ問題は日本も悪戦苦闘して来たからなぁw ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています