政府が、安倍晋三首相と11月5日に来日するトランプ米大統領との首脳会談で、安倍政権が掲げる外交方針「自由で開かれたインド太平洋戦略」を主要議題の一つとして取り上げる方向で調整していることが26日、分かった。

同戦略について両首脳間で必要性が共有できれば、推進に大きな弾みとなる上、東・南シナ海などで軍事プレゼンスを強化する中国への牽制(けんせい)にもなりそうだ。

日米首脳会談では、北朝鮮情勢のほか中国への対応についても主な議題になる見通しだ。

インド太平洋戦略は、安倍首相が昨年夏のアフリカ開発会議(TICADVI)で、安全保障協力やインフラ整備などを包含する外交方針として打ち出した。中国の習近平国家主席が掲げる現代版シルクロード経済圏構想「一帯一路」に対抗する構想と位置づけられている。

日米両首脳は2月の会談の際に、同戦略が推進する、海洋の自由を含む国際法に基づく海洋秩序維持の重要性を確認している。

今月18日にはティラーソン米国務長官が訪印に先立って行った講演で、中国が海外で展開する不透明なインフラ事業などに言及した上で、インド太平洋地域の平和と安定と繁栄を守ることの重要性を強調した。

講演は、米印関係を前面に出した内容だったが、日米印の3カ国は過去2度、外相会合を行うなど共通の価値観を持つ国として協力強化の方向にある。日本側は今回のティラーソン氏の発信に強い関心を持っている。

一方、河野太郎外相は日経新聞のインタビューで、インド太平洋戦略に関連して、日米印にオーストラリアを加えた4カ国の首脳級でつくる戦略対話の実現を目指す考えを明らかにした。

8月にティラーソン氏やビショップ豪外相と会談した際に4カ国の枠組みをめぐって意見交換し、英仏両外相にも連携を打診したことも説明している。

複数の日本政府関係者は「4カ国の首脳級対話の枠組みを実現するのは容易ではないが、協力の方向性としてはありうる」と話している。

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ドナルド・トランプ米大統領のツイッター
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ホワイトハウスで記者団に対応するトランプ米大統領=25日、ワシントン(AP)