在日韓国人の集住地域で韓国文化の情報発信地として親しまれている、大阪市生野区の町を盛り上げようと「第1回日韓TSURU(つる)歌謡祭」が28日、生野区民センターで開かれる。同区鶴橋にかつて多く飛来し、両国で縁起物として珍重されるツルがテーマ。

関係者らは「ここからアジアへ、韓国そして日本の歌手が飛翔(ひしょう)してほしい」と期待を込める。

同区の御幸通商店街(生野コリアタウン)にあるK−POP企画会社「Kイースト」の朴相俊(パクサンジュン)プロデューサーが、両国の文化人や行政関係者に提案。地元商店街や区役所関係者、韓国の地方自治団体の首長らでつくる「韓国鶴松会」の協力を得て実現した。

韓国松鶴会の事務総長で作詞家の鄭駿(チョンジュン)さんは、今年9月にイベントをアピールしようと来日。自らツルのかぶり物と面を着た“ダンシングつる”に扮(ふん)して、鶴橋駅前や道頓堀など大阪各地でパフォーマンスを披露した。

■9組が出演

歌謡祭は、29日にある「生野コリアタウンまつり」の前夜祭として企画。1部はトークショーで、2020年東京五輪を祝う音楽アルバムの制作者でもある鄭さんと、作曲家の金仁孝(キムインヒョウ)さんが出演する。「鶴体操」のワークショップも行う。

第2部は歌謡祭で、日韓のミュージシャン9組が出演。韓国からはロックバラードで人気のモクビさんや、若手韓国演歌シンガーのチョンジェウォンさん、日本からは生野区出身の在日韓国人のイヨンボさん、長野県出身の湯澤かよこさんが、自慢の歌声を披露する。

■継続も視野

日本でのK−POP人気は、全国的に広がった一時に比べ落ち着いた印象があるが、「ここ数年、コリアタウンにはアピールの場を求めてK−POPの若手アーティストが多く訪れている」と朴さん。商店街周辺にはK−POPグッズを扱う店も点在し、「生野の町に若いファンが集う機運が高まっている」と強調する。

この点をつなぐ拠点として、商店街内にライブスペースの開設を計画中。歌謡祭の来年以降の継続も視野に、「コリアタウン発信で韓国の若手が東京へ、日本の若手がソウル、そしてアジアへ。生野の町にはそれだけのポテンシャルがある」と夢を膨らませていた。

http://www.nnn.co.jp/dainichi/news/171027/20171027028.html

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”ダンシングツル”として大阪でイベントをPRする作詞家の鄭さん(中央)=大阪市生野区