格安旅行業者「てるみくらぶ」の倒産(今年3月)はまだ記憶に新しいが、今月も「アバンティリゾートクラブ」が経営破綻した。代金支払い済みの出発予定者は1000人以上とみられる。

東京商工リサーチによると、今年上期(4〜9月)の旅行業の倒産は17件に上り、4年ぶりに増加に転じた。また、旅行業者1700社を調査したところ、売り上げ1億円以下だった会社の2割が赤字を出しているという。

旅行業界の経営は苦しそうだが、「11月から年末にかけては、もうひと波乱あるかもしれない」(業界関係者)という。足を引っ張るのが、北朝鮮の問題だ。

この十数年、北朝鮮の隣国・韓国と、弾道ミサイル攻撃の対象として名指しされたグアムは、日本人の人気渡航先で常にトップ10に入ってきた。旅行業に進出したネット系の格安会社にとっても、「稼げる2大エリア」だったという。

旅行ライターの渡辺輝乃氏は、「この2つのエリアは日本から近く、ハワイよりも価格が手頃。家族3世帯で出かけたり、女性グループが週末旅行に選んだりと、一定の需要がありました。

そのため、業者からすれば数をこなせるので、手数料を安くしても十分に商売ができたのです。実際に、てるみくらぶは韓国・グアムにハワイを加えた3本柱で稼いでいましたし、アバンティリゾートクラブも多くの韓国・グアムのツアーを出していました」と指摘する。

そんなドル箱ツアーも、北朝鮮の独裁者の暴走で環境は一変。韓国とグアムは危険なイメージがつきまとうことになり、客離れが激しいという。

航空機にも影響が出ている。米デルタ航空は来年1月の成田―グアム線の撤退を決めた。

「客がいないからですが、北朝鮮情勢は今後さらに緊迫するでしょうし、渡航者はさらに減る恐れが強い。安さを売りにするLCCの破綻や撤退も現実味を帯びてきます。そうなれば、旅行業者はツアー代金を値上げせざるを得なくなり、ますます客離れが進んで苦しくなる悪循環。

中小・零細業者の倒産は、これから本格化しそうですね。そんなリスクを考慮するのなら、この年末年始は近場の格安海外ツアーを主力とする旅行会社の利用は控えた方がいいでしょう」(渡辺氏)

今年は国内の温泉でゆっくり……がよさそうだ。

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/216284
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今年の年末年始の海外旅行はパス?(C)日刊ゲンダイ