7日、文在寅(ムン・ジェイン)大統領がドナルド・トランプ米大統領のために主催した歓迎夕食会に韓米同盟と直接的に関係がないようなお客さんが登場した。慰安婦被害者である李容洙(イ・ヨンス)さんだ。 

  外交街では青瓦台(チョンワデ、大統領府)の李さんの招請は安倍晋三本首相がトランプ大統領夫婦と北朝鮮拉致被害者家族が会う機会を設けたことと同じ流れの措置という解釈が出ている。最も重要な同盟国の首脳がビッグイベントを契機に韓日首脳いずれも「国内政治の勝負手」を出したわけだ。 

  トランプ大統領は訪日中だった6日、拉致被害者家族17人に会った。記者会見でトランプ大統領は「とても悲しいこと」「悲劇だ」などの表現を使って彼らの痛みに共感した。北朝鮮拉致被害者の横田めぐみさんの名前を正確に発音して「1977年拉致された」という説明も付け加えた。 

  これだけではない。北朝鮮に抑留されて昏睡状態に陥ったあげく、米国に戻って亡くなった米国人青年オット・ワームビアさんに触れた。トランプ大統領は「そのようなことを二度と起こさせてはならない」と強調した。外交街消息筋は「トランプ大統領が横田めぐみさんの問題とワームビアさんの問題を事実上、同じ問題に取り上げたが、これは拉致問題解決に政治的命をかけている安倍首相には大きなプレゼント」と伝えた。日本のメディアはトランプ大統領が拉致被害者家族に会ったことを1面で報じ、米国がまもなく予定されている北朝鮮のテロ支援国再指定検討でワームビアさんの事件だけでなく、拉致問題も考慮するだろうと伝えた。 

  これまで拉致問題の解決に向けた日朝間交渉が間けつ的に行われてきたが、大きな成果を出すことができなかった。また、北核対応にあたって日本が穴になるのではないかという国際社会の懸念もあった。だが、トランプ大統領が「金正恩(キム・ジョンウン)委員長が拉致被害者を送り返す場合、それは非常に特別なことの始まり」と明らかにし、このような懸念を払拭させただけでなく、拉致問題が米朝間交渉の議題になる可能性まで提起されている。

文在寅大統領は慰安婦問題で勝負に出た。青瓦台は韓国映画『アイ・キャン・スピーク』の実際の主人公である李容洙さんを招待して「サプライズ」行事で準備した。これを知っていた人は少数に過ぎなかったという。 

  トランプ政府は韓日間歴史対立についてまだ明らかな立場を表明したことがない。文大統領はトランプ大統領が李さんに直接会う機会を設けることで慰安婦問題に対して「先制攻撃」をしたわけだ。慰安婦合意に反対している李さんを前面に出して国内支持層を攻略した側面も大きい。夕食会のメニューとして独島(ドクト、日本名・竹島)エビが登場したのも韓国固有の領土である独島に対する日本の不当な領有権主張に迂回的に反論しようとする意図だった。 

  トランプ大統領が夕食会場で李さんを迎えて抱く写真一枚で、文大統領が意図した効果は十分に達成されたという評価だ。だが、韓日関係などを考慮すると、外交的に適切な措置だったかに対しては否定的見解も少なくない。重要な同盟国首脳の訪問をポピュリズム(大衆人気迎合主義)に便乗する契機にすることに対する懸念の声もある。特に、最近、文大統領が外信とのインタビューで公開的に日本の軍事大国化への意図を批判するなどと重なり、過度に「反日色」を前面に出すのではないかという指摘も出ている。 

  匿名を求めた対日外交専門家は「米国の対アジア政策が韓日米協力だが、あえて韓日間で問題になるようなことを取り上げた意図が疑わしい。だからといって、米国がその事案で韓国を支持するわけでもない」として「これはツートラックアプローチを通じて協力する部分は強力し、韓日関係を改善したいという文在寅政府の政策目標とも合わない」と批判した。


[ⓒ 中央日報/中央日報日本語版]2017年11月08日 13時46分
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