(朝鮮日報日本語版) 浦項地震:文大統領、浦項市を特別災害地域に指定

11/21(火) 11:06配信
朝鮮日報日本語版

 韓国政府は20日に浦項市を特別災害地域に指定した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領はこの日行われた主席秘書官・補佐官会議で「(関係閣僚会議で議題に上がった)浦項市を特別災害地域に指定する件を認可した」「政府は可能な行政力を全て動員し、迅速な被害の復旧と入試日程が滞りなく進められるよう最善を尽くしていきたい」と述べた。文大統領はさらに「まずは被害の復旧と大学修学能力試験(修能、日本の大学入試センター試験に相当)の実施が最優先であり、緊急の対応が終われば安全状況と災害への備えについて全面的に点検する」との方針も明らかにした。

 特別災害地域への指定を受け、浦項市は復旧に必要な費用のうち自治体が負担した額の64.5%についても国庫から支援を受けられるようになった。また被害地域の住民は健康保険料の軽減、通信・電気・ガス・地域暖房料金の減免、動員訓練の免除といった支援も受けられる。住宅も破損の程度によって最大6000万ウォン(約620万円)の復旧費用を年1.5%の低利で融資が受けられるようになった。

 特別災害地域の制度は1995年の三豊百貨店崩壊をきっかけに導入された。自然災害によって甚大な被害が発生した際、市、郡、区ごとの被害額が国庫支援基準である18億−42億ウォン(約1億9000万−約4億3000万円)の2.5倍を超過した場合に指定が可能となる。ただし今回政府は「先支援、後復旧の原則」に基づき、正式な被害の実態調査が完了する前の時点で浦項市を特別災害地域に指定し、迅速に支援を行う方針を明らかにした。

 指定に先立ち政府が行政の担当者や専門家で構成された事前調査団を現地に派遣し、3日間かけて調査を行ったところ、浦項市全体の被害額は特別災害地域指定の基準となる90億ウォン(約9億2000万円)をはるかに超える見通しであることから、今回の宣布につながった。

 浦項市によると、20日午前10時の時点で地震の被害額は610億3200万ウォン(約62億6100万円)と集計された。内訳は学校や港湾などの公共施設が366件、498億7900万ウォン(約51億1700万円)で、住宅など個人の被害は5694件、111億5300万ウォン(約11億4400万円)だった。また被害を自己申告した世帯による申告件数は6232件だった。建物が完全に崩壊した全壊判定は140件、一部が崩壊した半壊は497件となっている。

 文大統領は主席秘書官・補佐官会議で上記のように「被害の復旧と修能の実施が最優先」との方針を掲げ、その上で安全確保と災害に対する備えを全面的に点検する意向を明らかにした。また23日に延期された修能についても「余震の可能性があることから、政府として全ての可能性に備えて指針を作成する」とした上で「受験生や父兄は過度な心配をせず、修能の会場で取られる措置に従って協力をお願いしたい」と呼び掛けた。

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