産経ニュース2017.12.5 17:14更新
http://www.sankei.com/world/news/171205/wor1712050034-n1.html

【ソウル=名村隆寛】韓国政府は5日、外務省報道官の論評を通じ、2015年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された長崎市の端島(はしま、通称・軍艦島)を含む「明治日本の産業革命遺産」について、日本政府が11月末にユネスコに伝えた報告内容に対し、「遺憾」を表明した。

 論評は「登録の決定当時、世界遺産委員会は日本側に各施設(23施設)の全体の歴史を理解する説明を準備するよう勧告した」と指摘。さらに、「日本側は、(1)施設の一部で1940年代に韓国人やその他の国の国民らが自らの意思に反して動員され、過酷な条件のもと強制労働をさせられた(2)犠牲者をしのぶための情報センター設置のような適切な措置をとる−と発言した」とした。

 その上で、「強制労働の犠牲者らをしのぶための後続措置を誠実かつ速やかに履行することを促す」と日本政府に求めた。

 ユネスコへの報告で日本政府は、2019年をめどに、産業遺産情報センター(仮称)を東京都内に開設し、労働者の賃金記録などの1次史料や元島民の証言などの公開を検討していることを盛り込んだ。

 日本政府は登録決定時の約束に沿った措置を取っている。だが、韓国では外務省報道官の論評のように、「軍艦島」で朝鮮半島出身者が労働を強いられたとの主張が強く、軍艦島がある長崎県から離れた都内に情報センターが設置されることにも反発が出ている。