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 【南京=河崎真澄】中国江蘇省の「南京大虐殺記念館」が14日、10年ぶりの大幅なリニューアルを終えて一般公開を始めた。展示変更で、「南京大虐殺の史実を世界に周知させた」として顕彰されていた朝日新聞の本多勝一元記者らの写真と資料が撤去されていたことが同日、分かった。

 リニューアルは約1年をかけ行われた。昨年4月の段階では「ザ・レイプ・オブ・南京」を著した中国系米国人のアイリス・チャン氏などとともに、本多元記者の顔写真や著書「南京への道」「裁かれた南京大虐殺」、中国取材に使用したとするペンやノート類の展示が確認されていた。

 中国国内で1937年12月の旧日本軍による南京占領で起きたとされる「南京事件」をめぐり外国人の歴史研究に依存しすぎていると批判が出ていた。

 さらに朝日新聞が2014年、朝鮮半島で戦時中に女性を強制連行したとする吉田清治氏(故人)の証言報道が「虚偽だった」と認めたことなどから同紙の過去の報道の信頼性に疑念をもたれる恐れがあると判断した可能性がある。

 一方で「性暴行」とするコーナーが設置され、「日本軍の南京占領で1カ月に2万件近い強姦(ごうかん)事件が発生した」などと、中国語、英語、日本語の3カ国語で表記。“証拠写真”や“証言映像”などを展示した。

 同コーナーで慰安婦に関する展示を大幅拡張し、写真類に加え、南京市内の慰安所で使われたとする避妊具や避妊薬などの物品類を初めて、“鉄証(動かぬ証拠)”として展示した。このほか14年に12月13日が「国家哀悼日」に指定された際、国家主席として初めて同記念館で演説した習近平氏の大きな写真パネルを展示した。従来は国家主席ら中央指導者の大型パネルは確認されていない。

 中国国営新華社通信によると、今回のリニューアルは展示内容のみで建物に変更はないが、展示入れ替えで従来に比べ写真類は約3分の2の約2000枚、物品類は約3分の1の約900点に絞った。それでも「史実の新たな証拠を集めた」と評している。