米ホプキンズ大の北朝鮮分析サイト『38ノース』が、今年11月から12月にかけて撮影された北朝鮮北東部豊渓里の核実験場の商業衛星写真を分析した結果、実験場の西側坑道で掘削作業が続けられていることが判明したと発表した。近い将来の核実験に、新たな西側坑道を使う可能性が高い。
 一方、過去5回の核実験で使われた北側坑道ではほとんど活動が確認されず、度重なる地下核実験に耐え切れずに坑道が塞がった可能性があるという。
 「インドとパキスタンが6回の核実験で核開発を完成させたことを考えると、北朝鮮が7回の核実験で核開発を完成させようとしていることは相当な説得力があります。米政府系の自由アジア放送(RFA)は11月24日、平壌の事情に精通した中国の消息筋が、朝鮮人民軍幹部から北朝鮮が核武力完成のための最後の核実験を行うという話を直接聞いたと報じている。最後の核実験は最も強力な実験になるということでした。水爆の小型化を目指しているのでしょう」(軍事ジャーナリスト)

 ミサイル自体は米国中枢まで射程距離を伸ばしたとしても大した脅威にはならない。「国家核戦力の完成」をうたう新型ICBM(大陸間弾道弾)『火星15』の試射を検証しても、実際には軍事的に不十分な点が目立ち、完成にはさらに時間が必要との見方が強い。
 「火星15は1段目に新型エンジン2基を使う2段式でしたが、米中露のICBMは3段式で固体燃料が主流です。3段式にすれば機体切り離しなど、さらなる技術が必要になるので、火星15は少なくとも1段目の機体は軍用に不向きな液体燃料を使わざるを得ない。ですから実戦配備には最低十数回の試射が必要で、一度の試射で実戦配備することは考えられません。それに小型化や大気圏再突入、目標修正機能など、クリアしなければならない課題は山積しています」(同)

 2018年は北朝鮮建国70周年の年であることから、金正恩党委員長が来年元日の“新年の辞”で改めて「国家核武力の完成」を大々的に宣言する可能性が高い。となると、平昌冬季五輪・パラリンピック前後に7回目の核実験を行う公算が出てくる。予想される水爆実験となるとICBM試射とは大きく意味合いが異なり、米国にとってレッドラインそのものだ。

 11月下旬には、第7艦隊の艦艇が横須賀に集結した。有事に備え弾薬や水、食糧などを一斉に補給していると専門家は見ている。空母も異例なことに同時に5隻が太平洋に展開中だ。
 「当面の焦点は北朝鮮が年内にさらなる軍事挑発をするのかどうかということですが、そんな折、ヘイリー国連大使らが米選手団の平昌五輪への派遣に関し『まだ決まっていない』と言い出しました。サンダース米大統領報道官も派遣を明言していません。『北朝鮮の核武装を阻止するためなら、韓国で行われる五輪の開催などに構っていられない』との意思表示です」(国際ジャーナリスト)



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