大阪・梅田の大阪駅前第1ビル1階の居酒屋「屯舎(とんしゃ)」は、終電時間まで会社員らでにぎわっていた。カウンター12席、テーブル62席の広い店内。新鮮な魚介と「ちりとり鍋」が名物の店で、「おかげさまで(夜の部は)午後5時の開店直後からお客さまが見え始め、7時には満席になる」という。

 オーナー兼店長の翁武堅(おうぶけん)さん(31)は5年前に前オーナーから経営を任された。中華ではなく、和食主体の居酒屋を中国出身の人が切り盛りするというのも珍しい。条件は店の残りの負債を引き継ぐということだけだった。実質、無償で店を譲り受けたのは、翁さんの誠実な人柄と真面目な働きぶりを知る前オーナーの英断からにちがいない。

 定休日は年末年始の5日だけ。午前10時に店を開けて準備を始め、ランチタイム、休憩時間をはさんで、午前0時の閉店まで、ほぼ毎日、1日の大半を店で過ごす。

 中国福建省生まれ。高校卒業後、大阪の日本語学校で2年間学び、龍谷大学国際文化学部に進んだ。卒論のテーマは「アジアの子どもと英語教育」。卒業後は中国の友人が経営する貿易会社で働いた。一度東京に転勤したが、「水が合わない」と、わずか1カ月で戻ってきたというほど、大阪が大好きだ。

 「大阪はいつもあわただしく、言葉もきついが、気さくであたたかい。特に大阪のオバチャンは、どこでも誰でもアメちゃんをくれる」と照れる。それも人懐っこい翁さんだからこその反応だろう。店の中でも、店が終わって一息入れるバーでも、誰彼となく笑顔で話しかけ、友達になってしまう。「この間なんか、電車の中で飴(あめ)をもらってしまった」と頭をかいた。


(以下略、続きはソースでご確認下さい)
http://www.sankei.com/west/news/180203/wst1802030013-n1.html