文在寅(ムン・ジェイン)政権発足から8カ月がたち、人々は問いかけ始めた。「国と国民をいったいどこに導こうというのか」「北朝鮮と何をどこまでやろうというのか」「米国はこの国からいなくなるのか、そうしたらこの国はどうなってしまうのか」

北朝鮮の継続的な核実験と長距離ミサイル発射で戦争の不安感に包まれた国民は、時間がたつにつれ、初めて現政権の本心と国の進路について本質的な疑問を抱き始めた。

北朝鮮の五輪参加に全てを懸けたように南北対話にこだわり、低姿勢をいとわない親北外交、米国との関係で問題が生じるたびにちぐはぐに振る舞う脱同盟的外交、終末高高度防衛ミサイル(THAAD)配備をめぐり、卑屈なほどに頭を下げた親中外交、ポピュリズムの典型であるさまざまな賃金・税金・福祉政策に全力を挙げ、いわゆる「積弊清算」に取り組む逆行と疾走ぶりなどはいずれも一貫した共通の針路を示している。

こうした状況で人々の大きな関心を呼んでいる事柄は次の2つだ。1つは北朝鮮問題。現政権の究極的な目標は何か。南北対話を「風前の灯」を消さないように守ってほしいと哀願(?)するような大統領の言行から人々は文在寅政権の対北朝鮮関係への恐ろしい執着を見て取る。この執着には北朝鮮の「非核化」は見えない。

対話には対話を目指す目的がなければならない。政府は対話目標を明示的に説明したことがない。そこで疑問が生じる。現政権の対北朝鮮政策基調は南北共存なのか、南北連邦制を念頭に置いたものなのか、それとも統一なのか。これらを意味するならば、まずは軍事的対立が解消されなければならないはずだが、「軍事」には全く触れようとしない。

国民は現政権がいかなる考えとビジョンを持ち、国をどこに導こうとしているのかについて、少なくとも概念的であれ知る権利がある。太極旗をしまい込み、韓半島旗を掲げる名分は何か。韓米の合同演習をやめ、北朝鮮の軍事パレードのスポークスマンのような役割をするのはなぜか。何のためにこれほど頭を深く下げ、醜い姿勢を繰り返すのか。絶対に理由があるはずだ。それを知りたいのだ。

北朝鮮との関係について、風前の灯が消えそうだといって慌てる現政権の執着と、それを恥ずかしくて見ていられないへつらいの珍風景ととらえる「太極旗勢力」との認識差は、一般常識では説明不可能だ。

もう一つの関心事は米国との関係だ。韓米間の昨今の状況はほとんど全ての面でかみ合っていない。文政権は口では同盟に言及しているが、内心は米国がまるで政権による南北間の努力の障害物かのような扱いをしている。五輪以降も韓米合同演習の遅延、米艦船の釜山入港拒否などこれまであり得なかったような事態が続く。

そして我々は文政権の究極的対米路線と方向性が何かを問いたい。現在は「緊密な対米関係」を維持しながら、「意味ある南北対話」を続けることができない状況に至った。北朝鮮の核の除去を引き出せない状況では、米国は韓国の二股政策をこれ以上容認しないからだ。

いずれ文政権は選択の岐路に立つことになる。文政権が米軍撤収を覚悟で最終的に北朝鮮への道を選択するのではないかというのが我々の懸念だ。

文大統領が「核を持つ北朝鮮」取るのであれば、米国も対韓国政策の方向を見直すのは確実だ。実用主義のトランプ大統領は、韓米同盟の実効性がもはやないと判断すれば、同盟にはこだわらないはずだ。韓国が望まず、米国にとっても得るものより与えるものが多いような「同盟」はこれ以上意味がないと考えるからだ。文政権は本当に米国がこの地を去ってもよいと考えているのか、国民の前で明らかにすべきだ。

当然一国の対外政策や安全保障の状況は、ものさしで測ったように線を引けるものでもなく、内容をはっきり示すことが必ずしも自国に有利なことではないことは分かる。しかし、現在は文在寅政権が革命でも進めるかのように過去の全ての政策と路線を修正し、反対方向に向かおうとしており、国民は不安がり、時には恐怖さえ感じる状況だ。

文大統領は現政権の選択とそれによって発生し得る状況について、国民が納得できるようにすべきだ。「自分が選んだ政権なのだから、俺たちが行こうという方向にただ付いてこい」というようなやり方は容認できない。


2018/02/04 05:03
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