日本統治時代の抗日独立運動記念日である「3・1節」の式典演説で文在寅大統領が日本批判に熱を上げた。就任後、初の「3・1節」のせいか肩に力が入った高姿勢で日本に反省を求めた。韓国の政治指導者にとって日本を批判し諭し教訓を垂れるのがいつもの愛国者の証明というわけだ。

 「3・1」は真の独立国家を目指す精神という意味で、これまでは日本批判とともに北朝鮮批判や南北統一が民族的課題として語られることが多かったが、文大統領は北朝鮮にはまったく触れなかった。北の韓国侵略に対する謝罪や反省要求を含め北には何もいえない低姿勢の代わりに、日本への気楽な(?)高姿勢でごまかした感じである。

 記念式典の後、式典参加者は大統領夫妻を先頭に国旗を振りながらデモ行進したのだが、それよりも実はこの日、ソウルの都心は保守派による別の国旗デモで埋め尽くされた。文政権の親北姿勢に不安と不満の人びとが「韓国を親北・左翼勢力から守ろう!」と総結集したのだ。

 図式的にいえば「数百人の反日・官製デモと数万人の普通の人びとの反北・反政府デモ」だが、文政権の影響下に入ったテレビをはじめマスコミは前者は大きく報じ後者は無視に近い。これでは保守派の不満は高じる一方だ。韓国社会の左右分裂は激化必至である。(黒田勝弘)

http://www.sankei.com/column/news/180303/clm1803030006-n1.html