米軍基地が沖縄県に集中している問題で、沖縄県民の7割が不平等と感じているのに対し、全国では半数程度にとどまり、
認識に大きな差があることが、早稲田大学文学学術院の田辺俊介教授らの2017年意識調査で分かった。

戦後教育の見直しを求める声は2009年の調査より減ったが、中国人や韓国人に対する排外意識が強く、
若い世代を中心とした右傾化傾向が続いているようだ。

調査は2009年から4年ごとに継続して進めているもので、2017年分は選挙人名簿から抽出した全国1万500人のうち、
沖縄県民504人を含む4,385人から回答を得た。

それによると、沖縄に集中する米軍基地問題では、沖縄県民の54.9%が「不平等」、
18.9%が「やや不平等」と答えたのに対し、全国では「不平等」が21.8%、「やや不平等」が30.1%にとどまった。

沖縄経済が米軍基地なしの成り立つかどうかでは、沖縄県民の10.3%が「成り立たないと思う」、
21.1%が「成り立たないとやや思う」と回答したが、全国では「成り立たないと思う」が14.0%、
「成り立たないとやや思う」が35.5%と大きく沖縄を上回っていた。

若者を中心に日本の右傾化傾向が指摘されているが、愛国心教育の推進を求める声は2009年の59%から49%に下がった。
その一方で、外国人の増加については、中国人に対して75.0%、韓国人に対して66.7%が反対の意向を示し、2013年調査で急増した排外的意識が継続している。

マスメディアの報道については47.9%が「信頼できない」「やや信頼できない」と答え、特に若年層で拒否反応が強かった。
安倍晋三首相に対して「嫌い」と評価する声が34.9%と2013年の1.5倍に増えたが、自民党の好感度に大きな変化はなかった。
https://bioimpact.jp/news/detail/547447

日本人の国際化、政治、社会に関する意識 全国を対象とした2009年からの継続調査を分析
https://www.waseda.jp/top/news/59444
https://www.waseda.jp/top/assets/uploads/2018/05/bb531a558ad476f59fc8d183eafbc3e8.png

好転しない韓国人・中国人への排外主義

2009年頃から盛んになったヘイトスピーチの問題とも関連し、特に近隣諸国の人々(韓国人・中国人)への排外主義が社会的に大きな問題となっている。
本調査では「あなたが生活している地域に、以下のような人々が増えることに賛成ですか、反対ですか」とたずねた上で
「1.賛成、2やや賛成、3やや反対、4反対」という4つの選択肢からの回答を求めた。

調査の結果、ヘイトスピーチ問題が議論され始めた2009年に比べ、尖閣諸島沖の中国漁船衝突事故(2010年)が大きく報道された後の2013年調査では、
中国人の増加に反対する意見が急増(2009年の反対+やや反対65.7%から2013年では75.8%と10ポイントの増加)し、2017年でも75.0%と同水準を維持している。

韓国人に対する意見も同様の変化を示しており、2009年では「反対+やや反対」で55.3%だったものが、
2013年で66.7%、2017年でも66.7%とほぼ変化がなかった。

2009年と2013年の間の排外主義的回答の急増は、中国(尖閣諸島問題)・韓国(竹島問題)などの領土問題がクローズアップされた結果と考えられる。
さらに2017年でもその悪化した状況が継続していることが、2017年の結果にも影響したと推察される。