http://www.sankei.com/smp/world/news/180621/wor1806210031-s1.html

 【ソウル=桜井紀雄】韓国政府は21日、検察の捜査指揮権を廃止し、警察に原則全ての事件に対する一次捜査権を付与する検察・警察改革に関する合意文を発表した。警察の捜査にも指揮権を持つ検察は、絶大な権限の乱用が長年、問題視され、文在寅大統領が機構改革を公約に掲げていた。

 中央政府の警察権の一部を地方自治体の管轄下に移す自治警察制を2019年内にソウル市や世宗市、済州島などで試行し、文氏の任期内に全国で実施できるよう協力することも盛り込まれた。生活安全や交通部門の自治警察への移行が想定されている。

 改革案が実施されれば、検察や中央に集中していた捜査や警察の権限が分散され、日本の検察・警察制度に部分的に近づくことになる。一方で、警察権限の肥大化を懸念する声もある。

 合意文について発表した李洛淵首相は「検察と警察が対等な関係に改善する」と強調。関連法案が今後、国会で審議される。

 合意文によると、検察の捜査は、警察が送検後や公訴維持、汚職や経済事犯など一部の事件に限定される。日本と同様、検察は起訴権を持つことで警察の捜査を統制する役割を担う。