サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会の1次リーグで韓国代表が2戦目となる対メキシコ戦を戦った24日未明、韓国大統領府(青瓦台)の国民請願掲示板には韓国代表のMF張賢秀(チャン・ヒョンス、26、FC東京)を非難する書き込みが登場した。

試合中に張が相手選手にタックルを試みた際、ボールが手に当たり、ハンドの反則で主審にPKを取られ、結局失点につながったからだ。試合後にも「張賢秀を国外追放しろ」「棒きれで尻をたたく杖刑(じょうけい)を提案する」「張賢秀の家族まで追放しろ」といった極端な内容の書き込みが100件以上寄せられた。

これに先立ち、18日の対スウェーデン戦に0対1で負けた直後にも掲示板は憂さ晴らしの場と化した。「スウェーデンとの戦争を望む」などめちゃくちゃな内容の請願が1000件以上に達した。

スウェーデン代表がPKで決勝点を上げたことについては、「主審を死刑にしてもらいたい」「スウェーデンからカネをもらっていないか、口座を追跡しろ」といった暴言が相次いだ。火の粉はスウェーデン系の家具販売店イケアにも降りかかった。「汚れた企業イケアに対する税務調査を求める」という書き込みが数十件に達した。

青瓦台の国民請願掲示板には特定の人物や団体に対する「度が過ぎた非難」が相次いでいるが、青瓦台はそれに十分対応できずにいる。

昨年8月に「国民の質問に政府が答える」という趣旨で国民請願掲示板を開設して以降、青瓦台は「少年法改正」「堕胎罪廃止」など20万人以上が参加した請願36件に対し回答し、一部は実際に政策に反映させた。

しかし、匿名で簡単に書き込みができるため、暴言やヘイト的表現を含む書き込みが大量に掲載されることが繰り返されている。これに先立ち、平昌冬季五輪のスピードスケート競技でのいわゆる「仲間置き去り」でキム・ボルム選手の資格剥奪を求める請願には60万人が加わった。書き込みの大半は暴言や差別的表現だった。

3カ月後、文化体育観光部と大韓氷上競技連盟は調査の結果、故意ではなかったと結論付けた。3カ月間、たたかれ続けたキム選手は精神科で治療を受けたが、誰も責任を取らなかった。このため、「青瓦台の掲示板がオンライテロの場と化した」「悪質な書き込みが飛び交うネイバー、ダウムなどポータルサイトと大差ない」といった指摘を受けている。

請願掲示板のマイナス面が指摘されると、最近は「国民請願サイトを閉鎖してもらいたい」「実名で運営してもらいたい」といった請願も増えている。青瓦台は暴言、卑語の使用、重複投稿などを削除基準として掲げている。しかし、人手不足などで暴言を含むかなりの問題投稿が放置されたままだ。

請願掲示板を担当するチョン・ヘスン青瓦台ニューメディア秘書官は30日、「請願掲示板が遊び場になってはいけない理由はない。怒りをぶちまける場も必要だと思う」と述べた。しかし、掲示板が事実上「憂さ晴らしと暴言の場」と化しているにもかかわらず、青瓦台が「表現の自由」を強調し、事実上野放しにしているとの批判も聞かれる。

このため、「請願」の趣旨を生かす上で請願実名制、告発機能など具体的規定をつくるべきだとの声も高まっている。これについて、青瓦台関係者は「現時点で掲示板の運営基準を変更する計画はない」と説明している。


2018/06/27 11:01 朝鮮日報日本語版
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