(朝鮮日報日本語版) 【社説】脱原発ごり押し韓国政府、電力需要の逼迫で原発を再稼働

7/23(月) 11:03配信
朝鮮日報日本語版

 記録的な猛暑により国の想定を上回る電力需要が続いている影響で、韓国の発電所運営会社である韓国水力原子力は原発を追加稼働する方針を決めた。整備や点検が行われている2基の原発については再稼働を前倒しし、8月中に点検整備を開始する予定だった別の2基も夏以降に計画を先送りした。これらの対策で最大電力需要量のおよそ6%に当たる500万キロワットが追加で確保されるわけだが、それによって今年3月時点で54.8%にまで下がっていた原発稼働率は期間限定で脱原発以前のレベルに相当する80%前後にまで引き上げられるという。脱原発をごり押しし、何の問題もなかった原発の早期廃炉を強行した政府が、電力需要が逼迫(ひっぱく)すると再び原発を使おうとしているのだ。

 昨年末に公表された第8次電力需給計画(2017−31)で、韓国政府は今年夏の電力需要のピークを8750万キロワットと予測していた。ところが想定外の猛暑が続いた影響で、今年の電力需要は現時点で連日政府の予想を上回っている。政府は「予備電力1000万キロワット、電力供給予備率11%」という数値を設定したが、先週の時点ですでに予備電力は900万キロワット、予備率は10%にまで下がった。猛暑の時期はまだ始まったばかりだが、今から想定外の状況に直面しているのだ。今年の冬も10回以上も工場が停止させられ、電力需要を抑える指示が下されたが、影響で工場などでは大きな混乱を招いた。このままではこの夏もそれが繰り返される恐れが十分に出てきた。

 夏の電力需要のピークは今後8月中旬までは続くはずだ。ところが今月20日の時点で石炭火力発電所については61基中59基、液化天然ガスを使った火力発電所は237基中230基がすでにフル稼働している。燃料効率が悪く大量の汚染物質を排出し大気汚染を招く石炭やLNG火力発電の稼働を増やしているのだ。これは政府がいまだに脱原発にこだわっているためだ。しかし火力発電をこのまま増やし続けるわけにもいかないため、政府はやむなく原発の再稼働を認めたようだ。

 政府は当初、電力需要の予測そのものを脱原発の方針に基づいて無理に取り繕っていた。第4次産業革命は大量の電力需要を伴うとされているが、国が取りまとめた第8次電力需給計画はこの問題が考慮されていないとの指摘をこれまで何度も受けてきた。また政府は無理な予測を設定し、これに基づいてすでに計画が進められていた4基の原発建設を白紙化しただけでなく、何の問題もなく正常稼働していた月城原発1号機(慶尚北道慶州市)の早期廃炉など、脱原発をごり押ししたが、影響で今では電力不足の懸念を呼び起こしている。今後15年先まで見据えたはずの長期の電力需給計画がわずか7カ月先さえ予測できなかったのだ。しかも今の政権で脱原発はもはや一種の聖域になってしまい、高い支持率を背景に政府は合理的な批判にも耳を貸そうとしない。完全な唯我独尊だ。しかし原発が必要になった今、政府がやろうとしていることを見ていると、国のエネルギー需給計画で想定外の事態に直面したときに、政府はどう対処するのか本当に不安になる。

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