【ソウル=鈴木壮太郎】

韓国は米朝による非核化交渉の停滞に焦りの色を強めている。

米国は非核化の進展がないまま南北経済協力に傾斜する文在寅(ムン・ジェイン)政権を強くけん制。鉄道だけでなく、4月の南北首脳会談で合意し、文氏が今月15日の演説で「数日後」とした北朝鮮の開城への南北共同連絡事務所の開設も延期を余儀なくされた。

韓国へのいらだちを強めているのは北朝鮮も同じだ。韓国は米国の意向や国際社会の経済制裁を順守せざるを得ない。朝鮮労働党機関紙の労働新聞は7月、南北鉄道連結について韓国が「共同点検、調査、研究など金のかからないことだけやろうといって歳月を無為に過ごしている」と批判した。

韓国と北朝鮮は文政権として3回目となる南北首脳会談の9月開催で合意した。ただ、ポンペオ米国務長官の訪朝延期で非核化問題の進展が先送りされた状況では、北朝鮮がいくら南北経済協力の推進を求めても韓国側は応じにくい。文政権は米朝の板挟みで難しいバランスを迫られている。


2018/8/31付日本経済新聞 朝刊
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO3481392031082018FF8000/