◇高校無償化訴訟、大阪朝鮮学園側逆転敗訴

「子どもたちを司法が見捨てた」

 大阪高裁の判決後、そう書かれた垂れ幕を弁護士が掲げた。正門前に集まった数百人の保護者や卒業生からは落胆の声が上がり、チマ・チョゴリ姿の女子生徒らは抱き合って涙を流した。

 傍聴した卒業生の金明和(キム・ミョンファ)さん(46)は、ショックで裁判長の言葉が途中から耳に入らなかったという。「訴えが認められた1審では『日本社会に受け入れてもらえる』と喜んだのに」と肩を落とした。卒業生の60代女性も「より良い教育を子どもに受けさせたいという思いが、なぜ認められないのか」と憤った。

 「奪われ続けた声がある」「怒りが今また声となる」。朝鮮半島の統一旗をあしらったうちわを掲げた保護者らは、無償化運動のために作られた歌を合唱して抗議を続けた。

 判決後の記者会見では、大阪朝鮮学園の玄英昭(ヒョン・ヨンソ)理事長が「決して容認できない。在日朝鮮人への差別をあおる判決で、子どもたちへのいじめそのものだ」と批判。卒業生の申泰革(シン・テヒョク)さん(26)は在学中に無償化の審査が止まり、「政治に振り回され、無力だった」と振り返った。【戸上文恵、茶谷亮】

毎日新聞
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